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インターネットパフォーマンスモニタリング

インターネット・パフォーマンス・モニタリングの習得:ベストプラクティス・シリーズ

2024年4月10日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「Mastering Internet Performance Monitoring: A Best Practices Series」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


1991年8月6日にCERNで世界初のWebサイトが公開されて以来、デジタルの状況は劇的に変化しました。
最初はひとつのWebページであったものが、今では相互接続されたサービスやシステムが入り組んだ、広大な網の目のように広がっています。
現代のWebは、気が遠くなるほど広大で複雑であり、うまく機能すれば、その精密さと技術的な調和が美しいものになっています。

過去10年間で、インターネットやワールド・ワイド・ウェブだけでなく、Webサイトが開発され、エンドユーザが体験する方法も進化しました。
モノリシックからマイクロサービス・ベースの構造へ、データセンターからクラウド・コンピューティングへ、私たちは長い道のりを歩んできました。

しかし、この複雑さには脆弱性がつきまといます。
Brian Krebs氏は、インターネットは細い棒と針金で支えられていると書きました。
彼は間違っていません。

魔法のようにレジリエンスがあり、完璧なネットワークとはほど遠く、インターネットは非常に壊れやすく、常に進化しており、複数のネットワーク、プロトコル、エージェント、サブシステムが、しばしばミリ秒単位で連携して動作する必要があります。
コストが数百万ドルに膨れ上がり、生産性が急落し、評判が落ちることもあります。
現代のWebは、そのレジリエンスを確保するために、常に注意を払い、適切な戦略をとる必要があります。

インターネット・スタックの重要なレイヤー

監視戦略の有効性は、インターネット・スタックと呼ばれる、アプリケーションからエンドユーザまで、サービス・デリバリー・チェーンを構成するすべてのコンポーネントの可視性のレベルによって決まります。

今日のインターネット・スタックのレイヤーを考えてみましょう。

インターネット・スタック
Network(ネットワーク)
ネットワークはインターネット・スタックの基本的なレイヤーのひとつで、何十億ものデバイスを接続し、私たちがインターネットとして認識しているものを形成しています。
パブリックネットワークとプライベートネットワークの両方を含み、バックボーンからラストワンマイル、ワイヤレスまで、様々なISPによって管理されています。
LAN、WAN、SASEなどのインフラとともに、グローバル・インターネットと企業ネットワークの基盤を支える接続性を提供します。
Protocols(プロトコル)
プロトコルは、コンピュータ間のデータ通信を編成するルールとポリシーであり、ソフトウェアやハードウェアの違いに関係なく相互作用を可能にします。
いったんデバイスが接続されると、データ通信が秩序正しく一貫したものになるよう保証する、目に見えないレギュレーターなのです。
プロトコルがなければ、インターネットは混沌として機能不全に陥るでしょう。
BGP、DNS、NTP、TCP、UDP、HTTP、MQTTなどの主要プロトコルは、デジタル世界を円滑に動かす縁の下の力持ちです。
Core/Cloud Services(コア/クラウドサービス)
コア・サービスとクラウド・サービスは、それぞれ特化した機能を実行し、インターネットのパワーを形成しています。
DNS、CDN、BGP、エッジは、オンライン接続を促進する上で極めて重要です。
  • DNS(またはDomain Name DNS) はドメイン名をIPアドレスに変換し、www.catchpoint.comのようなサイトを52.206.163.162に誘導してナビゲートできるようにします。
  • CDNs(またはContent Delivery Networks)はかつてはオプションでしたが、今やコンテンツ配信に不可欠なものとなり、インターネット・アクセスを世界的に高速化させています。
  • BGP(最古のプロトコルのひとつ)はインターネット全体の効率的なデータルーティングを保証する一方で、エッジサービスは遅延を減らすためにますます重要になっています。
  • Cloud hosting(クラウドホスティング)はインターネットの進化を物語っており、サービス提供におけるクラウド技術の変革的影響を示しています。
  • APIは、スターバックスからNetflixに至るまで、今日のアプリケーションの基本となっています。
    これらのインターフェイスは、不正検知や分析から広告、支払い、追跡まで、数多くのオンライン・プロセスを処理し、最新のデジタル・サービスの機能を支えています。
Applications(プアプリケーション)
アプリケーションはインターネット・スタックの最上位レイヤーを構成し、エンドユーザとのインタラクションのためのインターフェースを提供します。
このレイヤーには、Webブラウザや専用クライアントからアクセスできるフロントエンドが含まれ、オンラインショッピングやフライト、ホテルの予約などのアクティビティを促進します。

アプリケーション・レイヤーは、不可欠ではあるものの、基本的なインターネット・スタック・レイヤーに依存して動作しています。
しかし、多くの組織がこのレイヤーのみに監視の焦点を当て、その他のレイヤーの重要な役割を見落としています。
この狭い焦点は、アプリケーション開発がどのように進歩したかの副産物であり、しばしば他の重要なスタック層の可視性に重大な盲点をもたらします。

そこで、インターネット・パフォーマンス・モニタリング(IPM)の登場です。

インターネット・パフォーマンス・モニタリング(IPM):インターネット・レジリエンスの鍵

IPMを通じてインターネット・スタックの各レイヤーを深く可視化することは、インターネット経由でサービスを提供するあらゆる組織にとってミッションクリティカルな機能として浮上してきています。

プロアクティブな検知、迅速な対応、継続的な改善に焦点を当て、IPMのベストプラクティスを導入することは、ダウンタイムが選択肢とならない時代において、あらゆるビジネスにとって戦略的な必須事項となっています。
フォレスター・コンサルティングが2023年に実施した委託調査では、「IPMに投資しない企業は、サービスの中断によって顧客や従業員が離れていくため、莫大な財務的損失を被る可能性がある」と述べられています。

インターネット・パフォーマンス・モニタリング(IPM)に関するCatchpointのベスト・プラクティス

Catchpoint は、間違いなく世界初のインターネット・パフォーマンス・モニタリング専用プラットフォームであり、インターネット・スタックのレイヤーをどこよりも深く、幅広く監視します。
世界のトップ6のクラウド・プロバイダ、世界的な大手小売業者4社、トップ10のCDNのうち9社、最大のMSP、その他多くの大手グローバル・ブランドから信頼されている当社は、重要な質問に答えるベストプラクティスの手法を構築しています。

現在の監視セットアップが、上記の質問に答えられない場合は、リセットの時です。
アプリケーションデリバリ環境は広範であり、結束して機能するためには、様々な監視手法が必要です。
それぞれの監視手法は特定の目的を果たすものであり、重複する部分もありますが、ある手法を他の手法に置き換えることはできません。

私たちは皆、すべての重要な疑問に答えてくれるひとつの解決策を持ちたいと願っていますが、ひとつの方法に依存することは現実的ではなく、費用対効果もよくありません。

理想的な状態はこうです。

インターネット・スタック
インサイド・インの視点(アプリケーションとインフラのみ)とアウトサイド・インの視点(エンドユーザからアプリケーション)

IPMのナビゲーション:ベストプラクティス・シリーズ

このシリーズでは、インターネット・パフォーマンス・モニタリング (IPM) について、実践的な現場で検証されたベスト・プラクティスを通して解説します。
シームレスなビジネス・オペレーションを維持するためのプロアクティブな問題検出と迅速な解決の要点を取り上げます。
このシリーズでは、アウトサイド・インの視点に重点を置き、IPMをアプリケーション・モニタリング・ソリューションと併用して、ビジネスに影響が及ぶ前に問題を発見して修正できる方法でインターネット・スタックを監視する方法を紹介します。

今後のシリーズ予定(随時翻訳記事公開予定)

  1. 「重要なことを重要な場所から監視する」
    障害発生を防止し、体験を向上させ、重要なネットワーク・パフォーマンスに関するインサイトを得るための、ユーザの視点に立った監視の重要性をご覧ください。
  2. 「顧客体験の監視に不可欠なフレームワーク」
    IPMのベストプラクティスを紹介。顧客体験の向上と、到達可能性、可用性、パフォーマンス、信頼性の基本要素に重点を置いています。
  3. 「SLA監視で収益を守る」
    サービスレベル目標のトラッキングにおける中立的なサードパーティデータの重要な役割と、サービスレベル契約の課題を克服する方法を理解できます。
  4. 「デジタル・レジリエンスのためのAPI監視」
    APIトランザクションの隠れたレイヤーを理解し、レジリエンスを強化する方法を理解しましょう。
  5. 「データ分析のナビゲーション」
    インターネットの健全性とトレンドを包括的に把握するために、高度なAIツールと統合技術を使って生データを実用的なインサイトに変換する方法を学びます。
  6. 「まとめ」
    主要な収穫と次のステップでシリーズを締めくくります。

このシリーズでお伝えする詳細なインサイトにより、インターネット・レジリエンスを実現するための知識とツールを身につけていただければ幸いです。
インターネット・スタックの複雑な仕組みをナビゲートし、ダイナミックなインターネットの世界で貴社のデジタル・サービスがレジリエンスを維持できるようにするための戦略を紹介していきます。