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WebPageTestとCatchpointの1年 ― Tim KadlecとJeena JamesによるQ&A

2021年12月22日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事 A Year of WebPageTest and Catchpoint: A Q&A with Tim Kadlec and Jeena Jamesの翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


WebPageTestとCatchpointのパートナーシップが1年を迎え、WebPageTestのゼネラル・マネージャーであるJeena James氏と、エンジニアリング・ディレクターであるTim Kadlec氏がQ&Aを行い、昨年の重要なマイルストーンと今後の展望について語ってくれました。
お楽しみください!

Jeena:あなたの近況とここ数ヶ月のチームでの活動、そして現状CatchpointとWebPageTestはどんな調子であるかを教えてください。

Tim:そうですね、僕たちはWebPageTestの実用性を高めることに大変注力したので、皆さんが様々な環境やワークフロー等にWebPageTestをより簡単に導入することを可能にできたと思います。
私は以前、パフォーマンス・コンサルタントとして、様々な企業のパフォーマンスに関わる仕事をしていました。
つまり、監査からより重要な仕事まで、多くのワークフローやプロセスなどを含むパフォーマンス文化の確立を支援していたのです。

その間ずっと、WebPageTestは毎日のように使っていました。
今WebPageTestにやってきて、実際に仕事をして、チームと一緒に働けているのはとても素晴らしいことです。

そして、これはまさに人々が抱える多くの悩みの種を取り上げ、探し出し、それをどうやって結果に結びつけるかということへの試みでした。

WebPageTestが与えてくれる情報は山のようにあります。
どうすれば、これから始めようとしている人たちが、より簡単にできるようになるのか?
その結果をどのようにして実行に結びつけるか?

APIの周辺では、パフォーマンスをプロセスに組み込む場合、CI/CDプロセスの開発から開発後及びデバッグまで、それぞれの段階で何ができるかをどのようにして確認するか。
どのようにしてAPI周りの統合を構築し、人々がトラブルシューティングやパフォーマンス問題を先取りすることができるか。
そのような仕事が多く、とても楽しかったです。

またその過程で、WebPageTestのデザインを一新したり、つい最近ではモバイルデバイスにも対応したりしました。
少なくともそれぞれの分野で、10年前からコミュニティが求めていたものですね。

Jeena:私たちが「開発体験エンジニアリングチーム」と呼んでいるものを作ってきましたね。
その背景にあるビジョンと、あなたが行っていることについてもう少し教えてください。
誰がチームの一員なのか?
彼らは今現在何をしていて、その努力でもって何処へ向かおうとしているのでしょう?

Tim:小さなチームですね。
現在、開発体験エンジニアリングチームには、僕たち3人しかいません。
つまり僕とScott Jehl、そしてJeff Lembeck。
本当に小さなチームですが、とても優秀なチームです。
僕自身はそこで会社の他のチームからは除かれたんです。
でも、ScottとJeffは素晴らしい。

大前提としては、ちょっとしたハイブリッドなチームを結成しよう、ということでしたよね。
Jeffにはエンジニアとしての役割を、Scottには開発者とエンジニアの役割を半々で担当してもらっていますが、このグループの全員が、明らかにあなたや製品、その他あらゆるものと密接に協力し、オープンソースのサーバとエージェントであるWebPageTestの方向性と、それにまつわる体験を実際に舵取りし、管理するために働いています。

コミュニケーションや教育のためのプラットフォーム、ドキュメントなど強化する取り組みだけでなく、WebPageTestの使用感など、あらゆる意味での開発体験について話しています。
チームの全員が、サーバとエージェントのコードに直接貢献しています。

そしてそれ以上に、チームにはWebPageTestの将来の方向性について、多くの発言力と自律性があります。
僕たちは「WebPageTestが有用で関連性の高いものであり続けることを確認するためのより良い方法は、ターゲットである日常的にWebPageTestを利用している人たちに、WebPageTestの方向性の管理を委ねることではないか」というようなことを考え、これにアプローチしました。
それが、これまでの僕たちのやり方です。
本当に役に立っていると思いますよ。

初期のリターンだけでも素晴らしいものがありました。
見る限り……まず第一に、チームを結成したのは素晴らしいことです。
この全てを12年以上も一人で続けてこられたということは、Patがいかに優秀であるかを物語っています。

※訳注…Pat=Patrick Meenan…Webpagetest.orgの創設者でCatchpointのエンジニアリングフェロー

今はチームとなって、物事を世に送り出し、WebPageTestの機能を大幅に拡大していくことができるようになりました。
また、実用性なども含めて、見ていてとても楽しいですね。

皆それぞれ、過去にこのツールを使ったとき、どんな点が便利だったか、どんな点が足りなかったかという視点を持っています。
そして、それらを埋めようとしているのです。
そうですね、初期のリターンは良いものだったと思います。
確かにとても楽しかったです。

Jeena:ええ、その通りです。
それは私たちの全体的な取り組みを補うものです……。
私たちのチームと役割は、開発者側の強い努力をリードする適切な人々によって成り立っています。
WebPageTestの他の機能だけでなく、Catchpointの他の機能と接続することで、チーム全体を補完し、統合することができると思います。

Tim:そうですね。

Jeena:社内でこのようなものを作るのは初めてのことです。
まだ募集しているというのがすごいですね。

Tim:参加を望んでいる数人分の人員を確保しており、チームを強化することにとても興奮しています。

Jeena:本当ですね。

Tim:おっしゃるとおり、僕もそれが大きな要素だと思います。
僕の経験では、Catchpointの中のWebPageTestは、コミュニティの中でとてもポジティブなものでした。
コラボレーションの多さと、全体的なコミュニケーションの緊密さ。
あなたと一緒に仕事をしていると言いましたね。
あなたと僕は一日に何回でも、日によっては一日中何らかの形でチャットをしていて、異なる話題から別の話題へと話を進めています。

もっとも、僕たちには製品とマーケティング、そしてCatchpoint社のポータル側で働いていた人々があり、Catchpoint社の提供品とWebPageTest社の提供品を繋ぐいくつかの組織を置くためにやっていることがあります。
コミュニケーションはどんどん密になっています。
みんなで協力して調整していく過程は素晴らしいものでした。

Jeena:それは実のところ本当に良い切り口ですね。
今おっしゃった、Catchpointではどのようにしているのか、どのような旅をしているのかという点について、率直な質問があります。
しかし、その前にもうひとつ、開発体験チームについて思うことがあります。

私たちが一緒にやろうとしていることの中で非常にユニークなのは、先ほどあなたが言ったように、あなたはコミュニティと一緒に働き、コミュニティの一員として働き、そして開発者としての経験があるということです。
あなたは今、他の開発者やユーザ、そしてパフォーマンス空間に興味のある人たちのために作るチームの開発者です。
開発者のための開発者による開発者のための構築……。
そのこだわりは強い。
それも素晴らしいことだと思います。

Tim:今でもそのような投稿がたくさんありますよ。
WebPageTestは、パフォーマンス・コミュニティの中で、常にユニークな関係や地位を築いていますよね。
そのパフォーマンス・コミュニティのツールとしての役割を、いつも強く感じています。
大切な人材が他の会社に引き抜かれた場合は、いつだって少しの懸念がありますし、どういう展開になるのだろうと思っていました。
そういうものはうまくやり過ごせたと思います。
今でも定期的にコミュニティのメンバーからエージェント、サーバ、ドキュメントの提供を受けています。

僕たちが好きなことのひとつは、そうしたコミュニティのパフォーマンス報告を見直し、彼らを祝福できることです。
現在、様々なプラットフォームに対応した、本当に素晴らしいAPI統合に取り組んでいる人たちがいますが、これは僕たちだけでは考えられなかったような素晴らしいことです。

しかし、それだけではなく、自分たちでも何か貢献できることはないかと考えています。
Twitchのストリームではコミュニティに参加してもらい、一緒にライブオーディットを行う方法を見てもらう機会を設けたり、そういったあらゆることを。

学習能力やプラットフォームを確立し、コミュニティに配布できる情報を提供しようとしています。
まだまだこれからですが、この関係が重要であることはわかっていますし、僕たちはこれを絶対に倍増するとコミットしています。
これは僕が見てきた中で最も心強いもののひとつです。

Jeena:Twitchのストリームやライブの話をしてくれたことを嬉しく思います。
ローンチ当初はそうしていました。
私たちは、人々がこの製品を気にかけてくれるかどうか、よくわかりませんでした。
みんなYouTube LiveやLinkedInを見に行っているのに、なぜTwitchをやっているのか?
人々はどのように受け止めてくれるのか、ユーザはどのようにチェックしようとしているのか、と思ったのを覚えています。

ですが、エンジニアではない私でも、ライブオーディットで議論されていることはほとんど理解できると言えますし、同時に私が最も驚き感謝しているのは、あなたがオーディットを行っている間にやってきて議論に参加している全ての人との信頼関係です。
専門家や他のパフォーマンス愛好家、そして優れたウェブ体験を構築する仕事をしている人たちが来て、楽しく談笑しながらも、素晴らしいヒントやアドバイスを与えてくれます。
みんなが共有しています。

半分はあなたの話を聞いていますが、ほとんどの時間はみんなが書いているものを読んでいて、それは素晴らしいものです。

Tim:そうですか、それはいい感じですね。
思うに…… 僕も毎回新しいことを学んでいますが、これはすごいことです。
以前から知っている、コミュニティに深く定着している人たちが公平に混ざっていました。
他の多くの人たちのことも、以前から知っていたと思います。
参加している人の中には、まだ始めたばかりだという人もたくさんいます。
そうやってたくさんの新しい人たちと出会っています。
でも、あなたのおっしゃる通りチャットは……僕はチャットがどれほど素晴らしく、楽しいものであるかに対する準備をしていませんでした。

おっしゃる通り、遊び心のある雑談が多いですが、参考になるヒントなどもたくさんあります。
人々が絶えず持ち出してくるものがあります。
ライブでやっていて、僕とScottがちょっとの間動けなくなることがよくあるんですが、そうするとチャットグループの誰かがサイドでデバッグを行っていて「実は、こんな素晴らしい機能や設定があるんだけど、試してみない?」って。
本当に素晴らしいですよ。
集団的な学びの場としてもいいですね。

Jeena:共生していますね。
私はそういうものが大好きです。
一方通行じゃありません。
ただ指示して教えるのではなく、私たちでそれを学んで、一緒にやっていこうという気持ちが強いのです。

RUNのテストボタンを押すと、何が出てくるかわからないから。 なぜなら……

Tim:良くも悪くもない。
ええ、ちょっと神経質になることもありますよ。

Jeena:その通りです。
素晴らしいですね。

もう少し詳しく教えてください。
話が尽きないので最後になりますが、そうですね……。
CatchpointにおけるWebPageTestの1年目に関連して、あなたが心から誇りに思っていることを一つ選ぶとしたら、それは何ですか?
一つだけ選んでください。

Tim:そうですね、僕にとっては、教育と実行性の組み合わせ、つまりパフォーマンスを人々にとってより身近なものにしようとする、それに立ち返ることだと思います。
セキュリティ、アクセシビリティ、パフォーマンスなど、GoogleのPaul Lewis氏がかつて言っていた「退屈な3本柱」のようなものです。
これらは良いウェブ体験を構築するための絶対的な基礎となるもので、世界中の人々に通用するものであり、様々な状況の環境に対応しています。

でも、確かにその中に入るには少し怖気づいてしまうかもしれません。
知らないことは知らない、ということが全てだからです。
出来ることを全て試してみて、より親しみやすいものにすることが不可欠だと思います。
恐らくこれは、僕が最も幸せで、最も誇りに思っていることの一つだと思います。

最初の1年は、たぶん……何が起きているのか、もう少し明白に、実用的にすべくUIに追加してきました。
レンダリングブロック、アイコンから、ウォーターフォール内の個々のリクエストを選択できるようにすること、すぐに別のテストを実行してその影響を確認するといったことまで、全てです。
「あぁ、ここには問題があるかもしれない、あぁ、これは実際にあなたができることだ」ということのギャップを埋めようとしています。
それはとても大きかったと思います。

また、教育面でも力を入れており、WebPageTestだけでなく、パフォーマンス全般についても、知識を共有し、パフォーマンスに関するコミュニティ全体を構築するための方法を見つけたいと思っています。
それが一番嬉しい要素かもしれませんね。
Jeenaはどうですか?

Jeena:私は1月に入社して、大企業から中小企業まで様々な企業で買収を経験してきた私が言うのもなんですが……
人材に関する買収、技術に関する買収、顧客やユーザに関する買収などがあり、そのような経験の中で、うまくいくものがあります。

完璧なスコアはありません。
獲得したものや経験を定着させる完璧な方法はありません。
多くの勉強と検証の繰り返しで、良い面も悪い面も、時には醜い面も見てきました。
せっかく良い製品が入ってきても、1年後には日の目を見ることはありません。
なぜなら、人々はそれをどう使えばいいのかわからないからです。

これまでCatchpoint社で行ってきたことで私が気に入っているのは、責任があるということです。
私たちは、Patが素晴らしいプラットフォームとツールを使って築いた開発者コミュニティの管理者です。
次の反復、次のバージョン、そしてその進化は、どうすれば最高の洞察力、最も深くて広い範囲を、これらの分野を解決したい、パフォーマンスを測定したいと思っている人々の手に渡せるか、ということを常に念頭に置いています。
そして、いかにして最高のものを、できるだけ簡潔に相手に届けるか。
それを軸にしてチーム全体をどう構築するか。

私が最も誇りに思っているのは、製品だけでそれができたというわけではないこと。
人だけでもできません。
それは人、プロセス、製品の組み合わせであり、これらのことを確実にするために、私たちは非常に強力なチームを結成しました。

私たちには開発体験エンジニアリングチームがあり、これらの体験のフロントエンドとバックエンドを構築するコアエンジニアリングチーム、プロダクト、マーケティング、コンサルティングソリューション、セールスなどがあります。
従来のモデルとは異なる考え方をしています。
というのも、私たちはシステムとして繁栄したいし、協力的でありたいと思っていて、みんながそれに賛同しているからです。

さらに、私たちは他の組織や会社との統合性も高く、密接に結びついています。
ですからCatchpoint社は私たちにそのような機会を与えてくれ、実際に可能な限り探求して実験することができ、しかもそれを非常にまとまった方法で行うことができます。 このことをとても誇りに思っています。
私はチームを誇りに思っていますし、どのように整えていこうかと考えています。

Tim:あぁ、チームについて力説してくれて嬉しいですよ。
それはもうダントツで……。

以前友人に言われたことがあるんです。
「もし自分が部屋の中で最も愚かな人間でない組織にいたら、辞めるべきだ。君は自分よりも賢い人たちに囲まれていたいのだから」って。
それに加えて、賢さや思いやり、そして優しさなども加えたい。
それが、ここで築いたチームだと思うのです。

つい2週間ほど前にも、Twitterで「私は常に学んでいる」という趣旨のことを発信しました。
一日に何度も、自分の周りにいる人たちの頭の良さを実感します。
それは素晴らしいことだと思います。
揺るぎないチームで、みんなが本当に力を合わせて……。

あなたがおっしゃったように、WebPageTestを中心に構築されているコミュニティの管理者となり、彼らやパフォーマンスコミュニティのために正しいことをしているかどうかを確認するという目標がありますし、そのコミュニティの中での地位を考えると、貢献してウェブのパフォーマンスを前進させる責任があるということも理解しています。

Jeena:価値を与え続けること、それがなぜ重要なのでしょう?
どうすればそれを見つけられるのか?
あなたが言っていた「アクションが多い」という言い方が好きです。
さぁ、何? 今度は何?
さて、あなたは私に素晴らしい成果をくれました。
それを使って何をすればいいのか、ですね。
そして、それをさらに進めて、自分のチームや他のチームの別の部分と接続することで、より相互運用性の高い、より統合されたものになります。
私はこの方法が気に入っています。
きっと私たちは……

Tim:あぁ、秘密を喋らない程度にまだまだ続くよ。

Jeena:お時間をいただきありがとう、Tim。

Tim:またいつでも。

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