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CDNオブザーバビリティ ― 拡張インフラを監視しなければならない理由

2022年3月23日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事 CDN Observability – Why You Must Monitor Your Extended Infrastructureの翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)は、20年以上前からアプリケーションインフラに不可欠な存在となっています。
CDNはエンドユーザにとって重要な存在ですが、もはや単なるキャッシングサーバとは考えられていません。
フロントエンドの最適化と共に、DDoS攻撃などのサイバー脅威からのセキュリティを提供するために進化しています。

CDNサービスは今やあらゆるアプリケーション・インフラに不可欠な存在ですが、CDNのパフォーマンスに対する可視性は依然として限定的です。
キャッシュされたコンテンツのほとんどがCDNで処理され、オリジンへのトラフィックはほぼ全てCDNを経由しているにも関わらず、多くの企業ではCDN監視の戦略をしっかり立てられていません。

今回のブログ記事では、CDNオブザーバビリティに投資する理由トップ4についてお話します。

1. エンドユーザ体験に影響を与える大規模障害の検知と軽減

CDNは、その機能を管理するために特定のソフトウェアに依存しています。
最適なサービスを提供するためにソフトウェアのアップデートは定期的に行われていますが、このようなアップデートによってCDNのダウンタイムに繋がる設定エラーが発生する事例も起こっています。

図1:CDNの問題でエンドユーザがアプリケーションにアクセスできない状態
図1:CDNの問題でエンドユーザがアプリケーションにアクセスできない状態

最近発生したAkamaiとFastlyの障害は、何千ものWebサイトをダウンさせ、エンドユーザ体験を著しく損ないました。
このような障害は、ビジネスの収益だけでなく、ブランドの評判にも影響を及ぼします。
下の散布図(図2)は、Akamaiの障害による影響を示しています。

図2:CDN停止の影響
図2:CDN停止の影響

このような障害に対応するためには、詳細なパフォーマンスデータを入手することが不可欠です。
このデータを元に、パフォーマンス劣化を緩和するための対策を迅速に行うことができます。
これにより、障害が企業の評判や収益に与えるマイナスの影響を最小限に抑えることができるのです。

このような障害は避けられないものであり、今後も発生する可能性があります。
同時に、アプリケーションの可用性、到達性、信頼性、パフォーマンスを確保する責任は、あなたの会社にあります。
あらゆる状況を完全にコントロールすることはできないのに、この不可能とも思える目標をどうやって達成するのでしょうか?

まず始めに、以下の目標を達成するために、強固なCDN監視戦略を導入することができます。

2. ビジネスに影響を与える小規模・零細な障害の特定

大規模な障害は通常大きく報道され、ヘッドラインを飾ることになります。
しかし、CDNサービスでは、世界的な影響を及ぼさないような小規模で地域特有の障害にも見舞われることがあります。
このような軽微な障害は、エンドユーザ体験に大きな影響を与える可能性があるため、監視する必要があります。

下のグラフ(図3)では、インドのCDNサーバに問題が発生していますが、オリジンのパフォーマンスは100%の可用性を維持しています。
このような矛盾を無視しては、CDNのパフォーマンスを正確に評価することは難しいでしょう。

図3:特定地域に影響を与えるCDNのパフォーマンス低下
図3:特定地域に影響を与えるCDNのパフォーマンス低下

もしこのような軽微な障害の監視を見過ごすのであれば、2つのことを考える必要があります。

3. CDNのDNSパフォーマンス評価

CDNインフラのいくつかの異なる変数によって、障害が発生する可能性があります。
例えば、サーバの到達可能性がCDN機能に悪影響を及ぼす恐れがあります。
サーバにDNSやその他のネットワーク関連の問題が発生しているかもしれません。

多くの企業は、インフラ管理の一環として、DNSサービスプロバイダを積極的に監視しています。
同時に、CDNサービスは測定していないことが多いのです。
CDN自体は、アプリケーションのパフォーマンスを決定する様々なコンポーネントと構成から成っているため、監視することが重要となります。

DNSのパフォーマンスを監視することは重要です。
下のグラフ(図4)は、あるドメインの権威ネームサーバが複数の場所からDNS解決を行う際のばらつきを示しています。
異なるドメインの可用性やDNSタイムアウトなどのDNSパフォーマンスを監視した結果を見て、問題がCDNに起因するのかオリジンに起因するのかを正確に評価することしかできないことがおわかりいただけると思います。

図4:DNSのパフォーマンス評価―DNSプロバイダとCDNの比較
図4:DNSのパフォーマンス評価―DNSプロバイダとCDNの比較

4. グローバルでのパフォーマンス向上

CDNを使用する主な理由はキャッシュ可能なコンテンツをオリジンからオフロードすることですが、そうは言っても、目的はグローバルにエンドユーザのパフォーマンスを向上させることです。

アプリケーション配信をサポートするために、複数の拠点に何千台ものサーバを配置するのは現実的ではありません。
その代わり、キャッシュサーバを持つCDNネットワークが、パフォーマンスとエンドユーザ体験を維持します。

CDNの価値は、CDNを利用した場合と利用しない場合のアプリケーションのパフォーマンスを比較することで容易に理解することができます。
改善はオリジンと同等か、それ以上になされるべきです。

下のグラフ(図5)は、CDNを利用した場合のパフォーマンスと、オリジンでのパフォーマンスを示しています。
どのシナリオでも、CDNの方が性能が良いことは明らかです。

図5:DNSのパフォーマンス評価―DNSプロバイダとCDNの比較
図5:DNSのパフォーマンス評価―DNSプロバイダとCDNの比較

結論

ここで述べた4つのポイントは、CDN監視が企業全体の監視戦略に加えるメリットのほんの一部に過ぎません。
CDNオブザーバビリティにより、企業はWebページの応答時間が長い原因が、キャッシュされていないオブジェクトや、より長い期間キャッシュされていないオブジェクトにあるのかどうかを把握することができます。
キャッシュのヒット/ミスの比率を評価することで、パフォーマンスをより明確に把握することができます。

CDNはグローバルなエンドユーザ体験に大きな影響を与え、全てのデータはCDNインフラを経由するため、そのネットワークを可視化することは非常に重要です。
CDNオブザーバビリティが高まれば、マルチCDNの導入、コストとオフロードの評価、地域別のCDNベンダーの選択など、CDNに関連する主要な戦略についてより良い判断ができるようになります。

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