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SLOconf 2022を振り返って:SLOはみんなのためにある

2022年6月27日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事 Recapping SLOconf 2022: SLOs are for everyone!の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


2022年5月に開催された素晴らしいSLOconfには参加されましたか?
4つのトラックで60以上の講演が行われ、SLO(サービスレベル目標)の定義からエラー予算の財務的な枠組みまで、あらゆることが網羅されています。
私たちと同じように、あなたもいくつかのことを見逃しているかもしれません。

今回の便利な総括では、最も重要なセッションの数々と、あなたが見落としているかもしれないいくつかのセッションをご紹介します。
幸いなことに、SLOconf 2022は作業中に参加できるよう設計されており、全ての講演をまだ視聴可能です。

SLOconf 2022:SLOの基礎

SLOの基礎と名付けられるにふさわしいこのトラックは、SLOベースのアプローチとその実践的なアプリケーションを初心者に紹介するために企画されたものです。
SLOとは一体何なのか?
簡単に言えば、企業がお客様に提供することを意図した、合意されたサービスのレベルです。

クイックラーニングをひとつ。
「完璧を目指すのは無益であり、ほとんどの場合において十分であることを目標にするのが、SLOの聖域である。」

SREサーベイ&レポートの主要アナリスト・著者である当社のレオ・バシリウ氏は、累積エンドポイントのSLO設定についての講演で、このことをうまく表現しています。
「蓄積型のサービスレベル目標を設定するときは、自分に甘くすること。
人は自分が思っているよりも、小さな不具合やちょっとした問題に対して寛容なのです」

しかし、IAGのグウェン・デ・レオン氏スティーブン・タウンゼント氏による「SLOについて何も知らないときのSLOの定義」と題した講演は、SLOを定義することがいかに難しいかを言い表しています。
彼らはIAGで行われた大規模なSLO定義ワークショップを、チームが顧客志向をSLOに組み込むための実験として実施しました。
その中で、彼らはSLOの大きな疑問に対する答えを見つけ出そうとしています。

SLOとSLI、どちらが先か?
世界の組織はどのように導入しているのか?

SLOに初めて取り組む人にとって、これは虎穴に入るための素晴らしい方法です。

SLOの全てを深く掘り下げる

「SLOストーリーズ」のトラックでは、実際のSLOの成功例や失敗例を掘り下げ、「SLOの未来」のトラックでは一層進んだ会話を進め、複雑性を高めています。
ドタン・ホロヴィッツ氏は、オブザーバビリティデータを収集するための統一的なフレームワークを約束するオープンテレメトリーという意欲的なオープンソースプロジェクトを紹介します。
一方、ジュリー・ガンダーソン氏マンディ・ウォールズ氏は、カオスエンジニアリングについて意見を交わし、SLOの遵守と弾力性を確保するための実践的な方法を論証しています。

SLOはみんなのためにあるのか?

しかし、エリック・モーガン氏のプロフィール写真に写っているソーセージには、思わず首を傾げてしまうかもしれません。
実際、「みんなのためのSLO」というトラックのエンジニアのリストには、技術系のカンファレンスで会うとは思えない人たちが点在しています。

ジェニファー・ロバートソン氏は言語聴覚士です。
エリックはプロのシェフです。
言語聴覚士とシェフが、このSLOのパーティーに何をもたらしてくれるのでしょうか?

「私は専門家ではありません」とエリックは話し始め、「SLO? その頭文字もぎりぎり知ってるくらいなんです」と言います。
しかし、彼が厨房での大小の大惨事を回避した逸話を語り終える頃には、レストランの厨房という文脈ではあるが、彼がエラー・クリープ・マネジメントを完璧に説明していることに気づくでしょう。
ようやく意味がわかりましたね―SLOは、SRE・DevOpsエンジニアだけのものではなく、実は全ての人のためのものなのです。

Nobl9のアレックス・ヒダルゴ氏は、彼の持ち前のストーリーテリングによって、どの企業もある程度はSLOを利用しているという考えを具体化しています。
レストランで働いていた頃の話をすると、彼は言います。
「私たちは、技術の世界で使われているような言葉が生まれる前から、サービスレベル目標を使用していました。
どの企業でもある程度は使っている、一般的なアプローチです」

高まるトレンド

2022年のサービスレベル目標現状調査は、アレックスの言うことを裏打ちするものでしかありません。
SLOの導入は進みました。
SLOを利用している企業の82%は、今後利用を増やす予定です。

また、この増加は、純粋にIT業務だけに見られるものではありません。
調査によると、経営陣、製造、研究開発、マーケティング、財務などのビジネスチームが、ますますSLOを採用するようになっています。
この傾向は、SLOを業務に直接関連付ける意向のある企業が、調査対象の94%と圧倒的であることからも裏づけられています。

SLOを業務に活かす

SLOを日常の業務にどう活かすか?

ケリー・メリッヒ氏は、「SLOによる事業活動の拡大」と題した講演で、その問題について語りました。
講演にて、彼女はエンジニア以外の立場からSLOを見ています。
彼女は、個人的にSLOを活用させることができると確信しているだけでなく、法務チーム、人事部、カスタマーサポート、営業・マーケティングチームがSLOを取り入れるための実行可能な方法を概説しています。

「SLOは、部門間の翻訳ツールとして非常に優れています。
また、エンジニアと他部署だけに限らず、その周辺のあらゆる部署との会話も可能です。」
― ケリー・メリッヒ氏 /講演「SLOによる事業活動の拡大」にて

SLOのヒント

SLOに基づくアプローチを具体的な業務に導入するにはどうすればよいのでしょう?
イゾベル・レデルマイヤー氏は、「新米ドッグオーナーのためのSLO」いう講演の中で、3つのヒントを提供しました。

マイケル・エリクセン氏は、「自転車の荷台から学ぶ信頼性:100%は決して目標ではない」で、さらなる珠玉の如き知恵を紹介しています。

SLOconf 2022を総括して言えることは、ベテランのSREであろうと料理人であろうと、意識するしないに関わらずSLOを利用しているということです。
SLOの定義と実施には技術が必要であり、それを怠ると、ビジネスの成否を左右することになります。
これらは、目標を達成するための優れたツールであり、クライアントから2歳の子供まで、どのようなお客様であっても、顧客志向のアプローチを定着させることができるのです。

SLOはみんなのもの?
私たちをその仲間に入れてください。