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オレゴン州ポートランド

Monitorama 2022 - Mehdi Daoudi氏とのQ&A

2022年7月7日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事 Monitorama 2022 – A Q&A with Mehdi Daoudiの翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


今年のMonitoramaが間近に迫ってきました。
2022年は、6月27日から29日までオレゴン州ポートランドで開催されます。
監視やオブザーバビリティ、SLIやSLOのこと、そして何よりも、ベンダーやプロバイダではなく実務担当者が行っていることについて、業界の専門家やコミュニティリーダーによる講演が行われるのが特徴です。

Q&A:Monitorama 2022

その準備のために、CatchpointのCEOであり、No.1のMonitoramaファンであるメディ・ダウディ氏に、このイベントに関するいくつかの質問と、過去数年間の監視とオブザーバビリティの変化に関する、彼の認識について答えてもらいました。

― Monitoramに臨むにあたり、参加者に向けて一言お願いします

常にオープンマインドでいることが大切です。
批判や判断ではなく、オープンマインドで学ぼうとする意欲は、いつの時代もMonitoramaの素晴らしさだと思うのです。
オープンマインドでチャレンジしてください。

監視とオブザーバビリティのツールを改善し、チームをサポートするために、皆さんが何をしたかを聞くのが、文字通り待ち遠しいです。
彼らが保護し、運営を担当しているビジネスに、どのようにしてより高い耐障害性と信頼性をもたらしたのでしょうか。

私は、ジェイソンがまとめ上げたMonitoramaのテーマである、シングルスレッド、ハイパーフォーカスの方法論が大好きです。
これまで同様、新しいことを学ぶのがとても楽しみなのです。

例えば、私が初めてオブザーバビリティの話を聞いたのは、2017年のMonitoramaでした。
それがきっかけで話題となり、そこからオブザーバビリティがどれほど変化し、進化していったのかを人々は注視しています。

最新の技術、プロセス、方法論、ツールについて聞くのが待ち遠しい。
3日間、ただただ机にかじりついて勉強したいのです。

また、Monitoramaに参加される皆さんの多くは、パンデミック時に我々を正気に導いてくれた企業の方々なので、感謝したいと思います。
大変お世話になり、ありがとうございました。

1918年にパンデミックが起こり、同時に戦争が起こったとき、私たちの祖父母が経験したことは、文字通り想像もつきません。
インターネットのおかげで、ZoomやNetflix、Amazon Primeがあり、子供たちを楽しませながら、学ぶことも止めないでいられたというのは、とても素晴らしいことだと思います。
だから、私がインターネットの構築者、運営者と呼んでいる人たち、彼らの素晴らしい仕事に心から感謝します。

― いつもMonitoramaを楽しみにしていらっしゃいますが、Monitoramaのどんなところを愛しているのですか?

私がまずMonitoramaを好きなのは、昔から監視に特化したイベントで、小さな会社から大きな会社まで、監視を生業とする人たちが集まっているからです。
実際に現場で手を動かしてる人たちが主体となって運営しているので、「自分も現場にいた頃、こういう場に行きたかったな」という嫉妬心からもあって、とても気に入っています。

また、シングルトラック中心であることも好ましいですね。
会場が20カ所あるわけではなく、1つの会場で同じスピーカーのプレゼンテーションを同時に聞くという、ユニークなイベントなのです。

「うちはこうしてきた」「ABC社はこうしてきた」「こういう苦労があった」という話をたくさん聞くことができるのもすごいですね。
とても実践的なんです。
そして司会のジェイソン・ディクソン、彼はもちろん素晴らしい。

― 2年ぶりの対面式イベントということについてはいかがでしょうか?

2年ぶりに対面式でのMonitoramaが帰ってくるということで、ワクワクした気分になりますね。
この2年以上、アイスクリーム屋さん、いや、ポートランドだからドーナツ屋さんかな……そこに行く機会を奪われた小さな子供のようだったのが、このイベントに解き放たれることになったわけで。
だから、本当に楽しみなんです。

過去2年以上の間に、みんながオブザーバビリティや監視についてどんなことをしてきたのか、分散勤務やリモートワーク、在宅勤務の環境にどう適応してきたのか、そしてそれがどんな影響を及ぼしているのか、興味がありますね。

― このイベントに至るまでのCatchpointの役割はどのようなものだったと感じていますか? COVIDが始まってからはどうでしょう?

Catchpoint社のミッションは、企業のオンラインサービスを確実に機能させるためのツール、洞察力、可視性、そして魔法の妖精の粉を散りばめたデータテレメトリーを提供することです。
COVIDの期間中、私たちはウォッチャーとして、まったく別の役割、実際にはより重要な役割を担っています。

多くの監視ツールが内側を向いていたとき、私たちは外側を向いていたのです。
誰もが自宅で仕事をし、自宅で買い物をし、自宅のインターネットのラストワンマイルからあらゆることを行う……そのために、私たちの機能はかつてないほど重要になりました。
そう、なぜニューヨークのRCNとAT&T、二つのプロバイダにSyntheticエージェントを持つことが重要であるかを理解してもらえたと思います。

COVIDでは、そのようなエンドユーザの可視性・オブザーバビリティの必要性が、これまで以上に浮き彫りになりました。

また、COVIDが流行する前はインターネットをビジネスのメディアとして捉えていなかった新しい業界と話をし、仕事をすることができました。
例えば、高級品市場では、実店舗やサザビーズのようなオークションハウスに頼ることがほとんどです。

つまり、COVIDはビジネスモデルをひっくり返したんです。
ピカソを落札するために、集団感染の恐れのあるイベントに行く人はいませんよね。
これらはオンラインでなければならないのです。

そして、これらの企業はデジタルにシフトせざるを得なくなり、今ではもう後戻りはできません。

― 最近、Catchpointは毎年恒例のサイト信頼性調査を開始しました。
「労働条件は、モラル、知識の保持、生産性、雇用、コラボレーションといったものにどのような影響を与えていますか?」という質問に、何かご意見や感想はありますか?

SREがオフィスにいないのは、医師が病院の中にいないのと同じだと思うんです。
現場で学べ……救急外来に現れる人を見て学ぶのです。
そうやって練習し、誰かの知恵を借りる―冗談などではなく、共同作業をして学ぶのです。

これからは適応していかなければなりません。
SRE、監視、オブザーバビリティの観点から、在宅勤務は、情報の保持、知識の伝達、共同作業の方法、ホワイトボードの使い方、問題解決の方法などの面で、潜在的に困難を抱えていると言えます。

また、不安感を解消する意味でも、いるもチームで問題に対処しているように感じられる方が良いと思います。
家で一人、危機に立ち向かうのはストレスが溜まるものです。
チームと直に接するよりも、さらにストレスフルです。

これは私の過去の経験からきていることかもしれませんが、今後、このような問題に取り組まなければならないだろうと予測しています。

病院の医師、飛行機を修理するメカニック、複雑なシステムを扱うSREなど、複雑なものを遠隔で扱うのは非常に困難を伴います。
やはり対面式が一番だと思いますよ。

私は、あるものと別の何かをを擁護しているわけではありません。
これは事実だと言っているんです。
今後どのように解決していくのか、興味がありますね。

― これらのサービスについて、大手プロバイダの視点から話すと、顧客体験を損なわないままに従業員への義務を果たすことに成功したのでしょうか?

まだ時期尚早だと思います。
Catchpointでは、「これは実験だ」と話しているんです。
月曜日に正しいと思っていたことが、金曜日には完全に間違っているかもしれないのです。

Catchpointでも、Appleでも、Boeingでも、どこだっていいんです。
私たちは従業員と向き合って、彼らの幸せと心の健康、そして彼らが働く会社の成功のために、何が正しいことなのかを実践的に学んでいるところなのです。
シルバーブレットなんてものはないのです。

地球上で最大の企業であるAppleにしたってそうでしょう、何度オフィスに戻るか、戻らないか、オフィスに戻りたくないと悩んだか……我々は非常に流動的な状況に対処しているのです。

さて、私たちにできることは何でしょう?
私が気にするのは、従業員の生産性です。

生産性とは、「おい、100個のウィジェットをやれ」「100個のウィジェットをやったか?」「99個のウィジェットしかできてないからお前はダメな社員だ」というようなことではありません。
そういうことじゃないんです。

私にとっての生産性とは、コラボレーション―共同作業です。
他のチームとうまく連携できていますか?
私たちは皆、連なる鎖の一部なのですから。

効果的にコミュニケーションできていますか?
正しい方法でブレーンストーミングを行っていますか?

時々、頭をかいて、なんてこった、俺たち間違ってたのか、などと口走ることもあります。
そして、最近立ち上げたWebPageTest Proは、パンデミック中に完全に設計・構築され、徹底的にバーチャル・リモートで、創造性と革新性を目の当たりにしています。
Appleを見ても、M1プロセッサを完全にバーチャルで発売しています。

問題は、こうしたことをいかに持続させるか、いかに大規模に行うか、そして、今は家庭にある就業環境を、技術の観点からできるだけ快適にするために、企業は何をすべきかということに焦点を当てることです。
つまり、誰もがオフィスにいるのと同じように、リモートワークでも最高の体験をすることが求められるのです。
椅子、机、ノートパソコン、モニター、キーボードなど、当たり前のものをきちんとすることから始めるのです。

でも、それがお菓子を配るような小さなことにも及んでいくんです。
数カ月前、Catchpointでそれを行ったところ、大成功を収めました。

私たちは人間という生き物ですから、帰属意識というものを一番に欲していると思うのです。
集団に属するのが好きですからね。

チームに属することが好きな私たちにとって、今後どう対応していくかは非常に重要なポイントになるでしょう。
イノベーションを起こすためには、その感覚、チームとして働く能力を維持する必要があるのです。