インターネットパフォーマンス監視を無視することの真の代償
インターネット障害の経済的影響は莫大―調査でその衝撃を明らかに
2023年7月7日
翻訳: 島田 麻里子
この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「The True Cost of Ignoring Internet Performance Monitoring」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。
ビジネスにおけるインターネットの障害の経済的な影響はよく認識されています。
ただし、各企業の個別の性質、環境、業界、リスク許容度などの要素から、正確なコストを評価することは困難です。
このコストを理解する上で重要な突破口となったのが、Catchpointに代わってForrester Consulting社が最近実施した委託調査「 Increase Revenue with Internet Performance Monitoring(インターネットパフォーマンス監視による収益の増加)」です。
調査の焦点は、インターネットの障害がeコマース企業に与える影響にありました。
この調査は、しばしば過小評価されがちなインターネットの障害にかかるコストを数値化することで、私たちの疑念を裏付けるだけでなく、インターネットの障害による実際の被害額が、ほとんどの組織が受け入れる用意をしている額よりもさらに高いことを明らかにしました。
このブログでは、調査によって明らかになった、インターネットの障害がeコマース企業に大きなダメージを与える主な理由、つまり、主要な企業ネットワークとなっているインターネットに対する可視性の欠如に焦点を当てます。
まず、この調査から判明した主要な事項をまとめてみましょう。
- この調査の前月に、調査対象となった組織の37%が、インターネットの障害によって10万ドルから49万9000ドル、39%が50万ドルから999万9999ドルの損失を被ったと目算している
- 障害はまた、従業員の離職を増やし(55%)、従業員の生産性を低下させる(49%)ことにより、企業内部にもダメージを与える
- 十分な可視性がないために、企業は月平均76件の障害に見舞われている
インターネットを可視化するという課題
サービスやアプリへのユーザのデジタル・パスは、インターネット・スタックを構成する分散ネットワーク・システムの入り組んだ網の目を横切って移動します。
これには、アプリケーション、マイクロサービス、ルーティングプロトコル、データセンターやクラウドプロバイダ、BGPルーティング、DNSプロバイダやAPI、SASE(Secure Access Service Edge)、WAN、ファイバー、ブロードバンド、ローカルISP、モバイルネットワークなどの外部ネットワーク配信メカニズムが含まれます。
どこから見ても巨大な混乱であり、トラブルシューティングすることは困難です。
では、ビジネスが途絶えたとき、その途絶がどこにあるのか、どのように把握すればよいのでしょうか?
唯一の方法は、インターネット・スタックの全レイヤーを可視化することです。
企業がインターネット・スタック全体を監視せず、アプリケーションだけを監視している場合、異なる地域の顧客に影響を及ぼす問題にまったく気づかない可能性があります。
あなたのネットワークはあなたにとって正常に稼働しているように見えるかもしれませんが、もしユーザがそれにアクセスできなければ、彼らにとっては悪い体験となります。
必然的に、それは解約率や収益に悪影響を及ぼすことになるでしょう。
Forrester社の調査によると、このようにインターネットの障害を特定できないことが、ビジネスを脅かしているのだといいます。
多くの場合、企業は問題の発生源を特定するために、消去法のプロセスに頼っています。
例えそれが企業の管理外であったとしても、発生源を素早く特定することは非常に重要です。
顧客とコミュニケーションをとったり、サードパーティプロバイダに連絡をとったりすることで、企業は障害によるダメージを最小限に抑えることができます。eコマース企業はこれらの課題を克服しなければ、年間数百万ドルの損失を出し続けることになるのです。
インターネット・パフォーマンスの管理に成功している企業はほとんどない
インターネットはeコマースの生命線であるため、パフォーマンスを監視して障害を迅速に特定し、修正することは最優先事項であるべきです。
Forrester社の調査によると、これは企業が苦労している分野です。
適切な技術とツールがなければ、インターネットの障害を特定し、修正することは困難です。
そして、それをうまく行っている企業はほとんどありません。
「現在、あなたの企業でのインターネットパフォーマンス監視の取り組みを最もよく表すものは次のうちどれですか?」という質問をした際、インターネットの全体的なスタックとエンタープライズ全体のパフォーマンスを監視していると回答したのは、回答者の企業のうちの僅か29%でした。
Forrester社は、これは重要な問題であると考え、次のように述べています。
インターネットのパフォーマンスの重要性や、障害がビジネスの成功に与える影響を考えれば、この数値は100%に近いものであるべきです。
この可視性の欠如により、月平均76件の障害が発生することになったのです。
インターネットパフォーマンス監視(IPM)はビジネスの成功に不可欠
eコマース企業は、障害リスクを軽減するために、どのようなツールを利用できるのでしょうか?
回答者の61%は、インターネット・パフォーマンスの問題を迅速に予測、検出、修正するツールが必要であることに賛成しています。
Forrester社は、インターネットパフォーマンス監視 (IPM) に投資して、インターネット・スタックを完全に可視化し、ビジネスに影響が及ぶ前に問題を特定することを強く推奨しています。
調査の中で以下のように述べています。
IPMに投資しない企業は、サービスの途絶によって顧客や従業員が流出し、巨額の経済的損失を被る可能性があります。
IPMの価値を強調するように、回答者の75%がIPMは「大きな」または「かなりの」収益増加をもたらすと回答しました。
調査結果は、顧客体験のあらゆる側面を綿密に監視し、問題が起こる前に対処しないことの結果を数値化したものであり、IPMの重要性を強く訴えるものです。
インターネット・スタック全体を監視することは容易ではありません。
数千もの盲点があり、これらが障害や体験に影響を与える可能性があります。しかし、それを行わないことは、明らかに企業の収益性や生産性に重大な影響を及ぼしていることが分かっています。
Catchpointプロダクト・マーケティング担当VP Howard Beader氏
結論:IPMを無視することの真の代償
この調査からは、ネットワークの問題を特定・解決しないことが、コストのかかるインターネットの障害を引き起こし、直接的にビジネスの収益に影響を与えることが明らかになっています。
何百万ドルという大金が動く中、企業は損失を最小限に抑え、収益を守るためにIPMを最優先しなければなりません。
IPMに投資することで、企業はインターネット・レジリエンスを確保するために必要な可視性を確保し、評判と経済の安定を守ることができるのです。
インターネットの混乱がeコマース企業に与える影響と、IPMがこうしたリスクの軽減にどのように役立つのかについて、詳しくはForrester Consultingの調査結果をダウンロードしてご覧ください。
分散されたすべてのサービスを統合ビューで確認する方法については、ネットワーク体験ソリューション概要をご覧ください。
5月18日午後5時~6時(BST)に行われたEMEAのローンチウェビナーの配信をご視聴いただき、弊社チームとのライブQ&Aに参加し、Forresterのバイスプレジデントで主任アナリストのSucharita Kodali氏が行った研究の発表の録画もご覧になってください。