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SREcon23アメリカが終了しましたが、学びは終わりません!

2023年4月28日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事SREcon23 Americas is a Wrap – But the Learning Isn’t!の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


「※言われたことは、忘れる。教わったことは、覚える。参加したことは、学ぶ。」といったような格言には、様々な形や相反する考え方があります。
それが政治家に起因するものなのか、哲学者なのか、あるいは他の人なのか、私には分かりませんが(その場にいなかったので)、最後の「参加したことは、学ぶ」という部分には注目したいところです。

※訳注…“Tell me and I forget, teach me and I may remember, involve me and I learn.” ―ベンジャミン・フランクリン(米政治家)の格言

SREcon23 アメリカの感想を述べますと、私は心から「参加した」「学んだ」と言えます。
このカンファレンスは、参加者、講演者、コンテンツ、スポンサー、そして(もちろん)食事が見事に融合したものでした。

それは、なぜでしょうか?

ブックエンド(開閉会式)について

まず、開会式と閉会式の本会談(プレナリー)から紹介します。
Amy Tobey氏の開会プレナリー「SREの最終段階」Alex Hidalgo氏とAndrew Clay Shafer氏の閉会プレナリー「地獄は他のプラットフォーム」は見事なものでした。
彼らは皆、素晴らしい例え話を使って教えてくれたので、私は彼らの講演に参加しているということを実感しました。

Amyは冒頭、ステージ上で日本のロールプレイング風ゲーム(JRPG)を実況プレイしました。
私はこのジャンルの長年のファンですが(US版ファイナルファンタジーⅢを思い浮かべてください)、最初の反応は「えっ、ゲームプレイで始めるの?」でした。

しかし、その反応の後、Amyは例え話をし始め、他の人と話し、途中でちょっとずつ情報を得ることでインシデントを経験する感覚について説明しました。
先程私が言ったように、見事でした。

AlexとAndrewは、サルトルの実存主義的な戯曲『出口なし』を通してSREを論じることで、(他の巧妙で痛快な瞬間の中で)自分自身で考えることを教え、締めくくりました。
実際、彼らは 「SRE」が単なる「making it better(善後策)」である可能性についても論じていました。
しかし、この経験を台無しにしたくないので、セッションが公開されたらぜひ視聴することをお勧めします。

人々について

話を続ける前に、私はスポンサーでもあったので(つまり、ショールームで仕事をしなければならなかったので)、トークトラックのすべてに参加することができなかったことを認めます。
しかし、他の動画が公開されたら、それを見ようと思っています。

私が参加した各トラックで共通して耳にしたのは、人と人が正しい質問をすることに関するテーマでした。
例えば、Nick T氏の「1979年NORAD核ニアミス」についての講演では、Nickは信号を解釈することで何を学ぶことができるかを論じています。
また、もっと重要なこととして、Nickは、信号が正しくないと思われるときに、私たちが質問をする必要があることを論じています。

人と質問という考え方は、Vanessa Huerta Granda氏とEmily Ruppe氏の講演「インシデント・コマンダーからインシデント・アナリストへ: 私たちはどのようにしてここにたどり着いたのか」にも含まれています。
ここでは、インシデント分析に人間的な側面を含めることについて話しています。

また、Matt Davis氏は、会場の人々がリアルタイムで反応し合うという素晴らしい演習を取り入れました。
彼の講演「インシデントレスポンスの人間オブザーバビリティ」の中で、Mattは他の聴衆がやっていることに反応して美しい音楽を作ることで、私たちを巻き込んだ気分にさせてくれました。

私の考えでは、それは常に「人に帰結する」ものです。
言い換えれば、人工知能がすぐに人間の知能に取って代わることはないでしょう。
これは、次のセクションへの良い切り出しになります(この記事を公開した後に※スカイネットが改変するのを待ちます)。

※訳注…「スカイネット」 映画『ターミネーターシリーズ』に登場する架空のAIコンピュータ

人々について、再び

私(Leo Vasiliou)とKurt Andersen氏は、「SREレポート2023」(登録やフォーム入力不要で閲覧できます)について講演する光栄と特権を得ました。
具体的には、個々の貢献者や経営陣など、異なる立場の人々がレポートで調査されたトピックに対して、どのように問題や課題、機会を見ているか、そしてその差異や時には完全に異なる方向性について議論しました。

私たちは、スライドの中で何色の蝶が見えたかという質問を投げかけることで、聴衆を巻き込みました。
そして、人々が2つまたは3つと指を立てるのを見ながら、実際にはすべての蝶が同じ色であるという錯覚について説明しました。
ここでの「トリック」は、視覚に近づくほど、「真実」が見えやすくなるということです。

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しかし、「もっと近くにいる」人や「現場で働いている」人が常に真実を見抜いているということを示唆しているわけではないため、私たちは、離れた方がが解決しやすい別の錯覚も示しました。
これは個人事業主vs経営者に関連する、「時には一歩引くことも必要だ」という格言のようなレトリックでした。

この中でどれが違っているのか、わかりますか?
ヒントは、一歩下がってみて、簡単になるかどうかです。

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この講演の「クライマックス」は、すべての組織のペルソナが新しい、あるいはより良い対話をするための方法を提案したことです。
2023年は「レジリエンスの年」になると言われています。
もしそうなら、新しい、あるいはより良い対話が基礎となるでしょう。

最後に ― スポンサーとして

家賃や住宅ローンを払うためには、紛れもなくお金が必要です。
なぜなら、

SREconに限らず、全てのイベントにおいて、参加者、スポンサーの双方にお願いしたいのは、以下のことです。

つまり、学ぶために自分を巻き込むことが必要な場合もあるのです。
次回のSREconに期待しましょう!