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多眼的モニタリング

RUMとInternet Synthetic Monitoringの相互補完力

2023年10月6日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「The Complementary Power of RUM & Internet Synthetic Monitoring 」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


ユーザの期待はかつてないほど高まっており、パフォーマンスの不調はユーザの不満やビジネス機会の損失に繋がります。
デジタル資産に対するリアルタイムの洞察を得て、この競争環境で成功するには、企業はSyntheticとReal User Monitorin(RUM)の両方を組み込んだInternet Performance Monitoring(IPM)が必要です。
RUMとSyntheticは、同時に使用することで、パフォーマンスとユーザ体験の包括的なビューを提供する、2つの強力なツールとなります。

RUMとSynthetic Monitoringを理解する

Real User Monitoring (RUM)は、Webサイトやアプリケーションに対する実際のユーザ・インタラクションをキャプチャするパッシブモニタリング技術です。
ページの読み込み時間、ユーザ・インタラクション、エラー率など、様々なパラメータに関するデータをユーザのブラウザから直接収集します。
RUMは、実際のユーザがあなたのサイトをどのように体験しているかについての貴重な洞察を提供し、パフォーマンスのボトルネックを特定し、実際のユーザの行動に基づいて最適化の優先順位を決定することを可能にします。

一方、Synthetic Monitoringは、Webサイトやアプリケーションにあらかじめ定義されたリクエストを送信することで、ユーザ・インタラクションをシミュレートするプロアクティブなアプローチです。
このモニタリングは、さまざまな地理的位置から一定の間隔で行われ、実際のエンドユーザの体験を表現します。
この方法は、実際のユーザに影響を与える前に問題をプロアクティブに特定し、高いレベルのパフォーマンスと信頼性を維持するのに役立ちます。

SyntheticとRUMの統合力

RUMとSynthetic Monitoringにはそれぞれ独自の強みがありますが、その相乗効果は強力なメリットを組み合わせることとなります。

1. ユーザ中心のパフォーマンスのための包括的な洞察
RUMとSyntheticの組み合わせは、パフォーマンスの全体的なビューを提供します。
RUMは本物のユーザ体験をキャプチャし、Synthetic Monitoringは様々な場所から制御されたテストを実施します。
この組み合わせにより、地域やネットワーク条件にわたるパフォーマンスが明らかになり、最適化の取り組みが導かれます。
2. プロアクティブな問題管理と実際のユーザへの影響
Synthetic Monitoringは、ユーザに影響が及ぶ前に潜在的な問題をプロアクティブに特定し、タイムリーな修正を可能にします。
RUMは、ユーザへの影響をリアルタイムで表示することでこれを補完し、優先順位付けを支援します。
このダイナミックな組み合わせにより、パフォーマンス管理に対するプロアクティブでユーザ中心のアプローチが保証されます。
3. グローバルなユーザ体験と理解の向上
Synthetic Monitoringは、世界中のパフォーマンスを評価することで、一貫したグローバルなアクセシビリティを保証します。
RUMはコンテキストを追加し、地域ごとのユーザの課題を明らかにします。
この相乗効果により、地域の特性を理解しながら、世界中のユーザ体験を最適化することができます。

人気のあるeコマースサイトが、セール期間中にページの読み込み時間が突然長くなるシナリオを想像してみてください。
Synthetic Monitoringはこの異常を即座に検出し、サーバのレスポンスやネットワークの遅延における技術的なボトルネックを明らかにするでしょう。

しかし、RUMとの組み合わせは、まさに全体像を描き出すものです。

RUMは、この遅延がユーザ・エンゲージメントの大幅な低下をもたらし、読み込み時間の遅さに不満を抱いた買い物客がカートを放棄したことを明らかにします。
このリアルタイムのユーザ視点は、生のSyntheticデータを具体的なユーザ体験のストーリーに変換して、企業が問題に迅速に対処し、全体的なパフォーマンスを改善し、顧客ロイヤルティを確保することを可能にします。

要するに、SyntheticとRUMのパートナーシップは、多角的な理解を組織に与え、技術的効率と真のユーザ満足度のためにWebサイトを最適化することを可能にするのです。

実例:RUMとSyntheticの連携

ラグジュアリー・ブランドの意外なページビュー低下

2023年6月27日、Catchpointの顧客である大手ラグジュアリーブランドは、RUMとSynthetic Monitoringを組み合わせて自社のWebサイトを分析しました。
具体的には、RUMのデータを使用して、パターンと傾向を特定しようとしたのです。
すると驚いたことに、ページビュー数が大幅に減少していることを発見したのです。

さらに深く掘り下げ、「Largest Contentful Paint」や「Document Complete」といった指標を評価したところ、以下のように両指標で顕著な数値の急上昇が見られました。

Largest Contentful PaintとDocument Completeのグラフ

詳しく調べてみると、この出来事は、影響を受けた日時のデータが示すように、ページビューのボリュームにインパクトを与えたということが明らかになりました。

Largest Contentful PaintとDocument Completeのグラフ

さらに深く掘り下げると、JavaScriptファイルの1つが、実際に読み込み時間の延長の影響を受けていることが確認されました。
このことが、Document Completeの長時間化やLargest Contentful Paintの時間増加といった課題に関与していたのです。

読み込み時間の影響を受けたJavaScript

迅速な解決:Document Complete時間の短縮

別のシナリオでは、RUMとSyntheticが連携して、JavaScriptファイルに関連する読み込み時間の延長によるDocument Completeの問題を特定しました。
このことを速やかに顧客に伝えた後、彼らは直ちに行動を起こし、問題のJavaScriptファイルに対処することで問題を解決することに協力してくれました。

この連携により、下図に示すように、全体のDocument Complete時間が19秒から13秒に短縮され、顕著な改善が見られました。

Document Complete時間の改善

粒状データが接続問題を突き止める

ある著名なグローバル投資会社が、特定の地域からのページビューの減少を検知し始めました。

特定の地域からのページビューの減少

RUMとSynthetic Monitoringからの洞察により、ひとつのISPから発生したSSLハンドシェイクの問題を切り分けることができました。

ひとつのISPから発生したSSLハンドシェイクの問題

結論

Synthetic MonitoringとRUMを組み合わせることで、より包括的で堅牢なモニタリング戦略が実現し、エンドユーザの体験を完全に可視化することができます。

しかし、すべてのSyntheticが同じように作られているわけではありません。

Datadog、Dynatrace、AppDynamicsのような多くの企業は、Web Syntheticのみを提供しています。
CatchpointのIPMソリューションが他と一線を画しているのは、インターネット・スタック全体の包括的な可視化を可能にするInternet Syntheticsの使用です。
Internet Syntheticsが、従来のWeb Syntheticsを超える、より深く豊かな洞察をどのように提供するかをぜひお確かめください。