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2024年の予測

2024年公開:CatchpointによるAPM、ITOM、OTelとその先の予測

2024年4月3日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「2024 Unveiled: Catchpoint's Predictions for APM, ITOM, OTel & Beyond」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


ホリデー・シーズンがやってくると、単におめでたい気分に浸ったり、決意を新たにしたりするだけでなく、業界のリーダーたちが新年の予測を立てる時期でもあります。
今年は、Catchpointのオピニオン・リーダーたちが、2024年に向けて最もホットな話題を提供してくれました。

Catchpointの専門家は、監視技術の変革、重要な指標としてのパフォーマンスへの注目の高まり、デジタル・パフォーマンス・マネジメントを管理するための統合戦略を構想しています。

2024年に何が待ち受けているのか、その一端を覗いてみましょう。

稼働時間や可用性よりもパフォーマンスが重要になる

パフォーマンス指標は、稼働時間や可用性を追い越し、最も監視される指標となるでしょう。
遅いことは新たなダウンです。
インターネット・パフォーマンス管理が、レジリエンスの達成とデジタル顧客体験の最適化を目指す企業にとって優先事項であると認識されるようになるにつれ、稼働時間はもはやパフォーマンス抜きには語られなくなります。

2024年には、パフォーマンスに関する会話が最も重要になるでしょう。

SLAに対するベンダーの責任追及

ebチームは、サードパーティのシステム、アプリケーション、サービス、そしてインターネット全体への依存度が高まっていることを認識し、クラウドプロバイダからCDN、Webコンポーネントまで、すべての依存関係を監視し、最適化する必要があります。
SLAに対する説明責任を果たすために、ベンダーを統合し、評価する方法に変化が起きるでしょう。
Adobeの障害発生の数週間前になされた予測は、何千ものサイトにとってまさに現実のものとなりました。

顧客はOpenTelemetryを求めている

OpenTelemetryをめぐる戦争で、恐怖がコントロールと戦うことになるでしょう。
しかし、誰が勝つのでしょうか?

一方では、ベンダーやプロバイダは、サービスレベルの侵害やパフォーマンスの低い広告プロバイダのリスクを増加させる可能性のある低レベルのデータへのアクセスを許可することに警戒するでしょう。
もう一方で、顧客やIT担当者は、オーナーシップと可視性を求め続けるでしょう。
また、増加するデータ量を処理する能力を強化する一方で、複数のAPMツールの拡散や高コストのリスクを軽減することも望んでいることでしょう。

我々は「顧客は常に正しい」という格言がここで勝つと信じています。
最新のツールはデータを取り込み、エクスポートして他のデータソースと組み合わせるように設計されているため、顧客をソフトウェアに閉じ込める時代は終わりに近づいているのです。

アプリケーションの評価指標よりもユーザ体験

オブザーバビリティ・チームは、ユーザ体験とアプリケーションのメトリクスを理解することの重要性に気づくでしょう。
データベースの呼び出しの待ち時間が少し長いという事実は、アプリケーションがパフォーマンスに対するユーザの期待に応えていない場合よりも重大ではなくなります。
これは、レジリエンスとパフォーマンスをビジネスインパクトに直結させることになります。

大手ブランドは20年ほど前から、NPSなどの指標を含む顧客体験システムに投資してきました。
今やこれらのブランドは、顧客とのやりとりのほとんどがデジタル化されているか、デジタル・システムの影響を大きく受けているため、デジタル・カスタマー・エクスペリエンスによって顧客体験をプロアクティブに改善できることに気付いているのです。

OpenTelemetry、エンドユーザ体験に注力

品質は、OpenTelemetryのおかげで、内部で管理されるだけでなく、サードパーティの(特に重要な)依存関係も含むようになりました。
フォーカスがアプリケーション専用からユーザ体験専用にシフトするにつれて、DevOps チームがユーザ体験のメトリクス、ビジネス KPI、SLA を取り込むように、リアルタイム・データへのアクセスはさらに重要になります。
このため、IT運用チームはOTelについて、当初統合を目指していたAPMツール(ログ、メトリクス、トレース)を超えて、RUMやシンセティック・モニタリングなどのユーザ体験データも含めて考える必要があります。

ITSMチームは従業員体験管理に投資する

ITSMチームは、従業員の体験管理ツールに投資し、デジタルの摩擦を最小限に抑え、分散しているリモート従業員とオフィス内の従業員の両方のユーザ視点から、接続性とアプリケーション・パフォーマンスの問題にプロアクティブに対処します。
組織がデジタル体験を個人の好みに合わせて最適に調整できるよう、ユーザ・ジャーニーを理解しマッピングする動きが加速するでしょう。
チーフ・ピープル・オフィサー(最高人事責任者)は、ハイブリッドでありながら分散型である今日の世界において、生産性と従業員体験を向上させるようIT部門に要求し始めるかもしれません。

ユーザ体験の指標を開発に取り入れる

ユーザ体験の指標は、開発とテストのライフサイクルに一層組み込まれるようになるでしょう。
より多くのDevOpsチームが、機能性やリリース日だけでなく、パフォーマンスや顧客満足度、その他の指標も含めて要件を設定し、開発中や本番環境、コードリリースごとに測定するようになるでしょう。

プロアクティブな従業員体験監視

ガートナー・リサーチは1年前、社内ユーザの47%が業務に必要なITシステム(電子メール、Zoomミーティング、Slackなど)との間で、日常的に大きなデジタル摩擦を経験していると報告しました。
したがって、2024年には、従業員が効率的に仕事をするために必要なアプリケーションへの接続とアクセスを確保することの重要性を企業が認識するにつれて、プロアクティブな従業員体験監視(DEX)が主要な優先事項となるでしょう。

2024年、インターネットが事実上の企業ネットワークに

インターネットはあなたのネットワークです。
LANの重要性がWeb上のより広範な分散ネットワークを理解することよりも低くなるにつれ、企業は新しいツール群に目を向けざるを得なくなるでしょう。
現代のネットワークエンジニアは、SASE、WAN、マルチクラウドシステム、複雑でグローバルに分散したアプリケーションなど、より広範なインターネットベースのテクノロジーの最適化に精通しています。

ノー・コード/ロー・コード予測

企業はアプリを開発するために「高校生インターン」を雇い始めるでしょう。
つまり、生成AIの能力を探求するのでしょうが、その仕事は二重三重のチェックが必要な、経験のない「高校生」労働力スタッフとして扱う必要があるということです。
4年後、生成AIが大学を卒業したときのパフォーマンスを見ることができるのです。

レジリエンスは取締役会レベルの優先事項

多くの組織が、セキュリティ責任についてはCISOに選任しているのを、私たちは目にしてきました。
同様に、機能全体 (財務レジリエンス、システムレジリエンス、オペレーショナルレジリエンスなど) にわたって、成長よりもレジリエンスを優先するようになるにつれて、レジリエンスに関する計画立案、ガバナンス、および説明責任を一元化するために、チーフレジリエンスオフィサーを任命したり、同様の役職を設置したりする組織が増えるでしょう。
これは、金融システムのレジリエンスを義務付けるEUの新規制であるDORAのようなものによって加速しています。

これらの予測は、年間SREレポートの主執筆者でもあるプロダクト・マーケティング・ディレクターのLeo Vasiliou氏と、CatchpointのフィールドCTOを務めるCMOのGerardo A. Dada氏の意見です。
元々APMDigestで共有されたもので、アプリケーションパフォーマンス管理(APM)の予測に関する8部構成のシリーズの一部として、パート1パート4パート6パート7パート8で紹介されました。

おわかりのように、2024年は、上記の要素を戦略的に統合することで、ビジネスのレジリエンスを最適化し、デジタル顧客体験を強化する変革の年になるでしょう。