Googleの新しいCore Web Vital INPの最適化方法
2024年8月5日
著者: Piril Kavlak/Sheikh Mursaleen/Mikayla Reddy/Mutahira Muzaffar
翻訳: 竹洞 陽一郎
この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「How to optimize for Google’s new Core Web Vital INP」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。
2024年3月12日より、GoogleはFID(First Input Delay)指標をINP(Interaction to Next Paint)に置き換え、Core Web Vitalsの一部としました。
この変更は、Webの対話性を測定する方法において大きな転換を意味し、ユーザ体験のより包括的な視点を反映しています。
このブログでは、INPの概要、最適化のための戦略、そしてFIDが依然として有効な指標であるかどうかについて考察します。
INP(Interaction to Next Paint)とは何か、そしてその重要性について
INP(Interaction to Next Paint)は、ユーザがクリックやキー入力といった操作を行ってから、画面上に次の視覚的な更新が行われるまでの時間を測定する指標です。
この指標は、操作全体の所要時間を捉え、Webページの応答性を詳細に評価します。
Googleによると、ページのINPが200ミリ秒を超える場合、応答性を向上させるための最適化が必要とされています。
INPはユーザ体験と満足度を測定し理解するために設計されているため、INPの値が悪いとサイトの検索エンジンランキングに悪影響を与え、SEO戦略を妨げる可能性があります。
INPとFIDの比較
FID(First Input Delay)は、ユーザがページと初めて対話を行ってから、ブラウザがその対話に応答できるまでの遅延を測定する指標です。
しかし、FIDは初期入力遅延のみを評価し、視覚的な反応が更新されるまでの全体の時間は考慮していません。
INP(Interaction to Next Paint)は、このギャップを埋めるもので、インタラクションの完全なライフサイクル—入力遅延、処理時間、表示遅延—を含むため、より包括的な指標となります。
INPの主要な構成要素
- 入力遅延
- ユーザの入力からイベント処理が開始されるまでの時間。
- 処理時間
- ブラウザがイベントを処理するのに要する時間。
- 表示遅延
- 次のフレームがレンダリングされ、表示されるまでの時間。
INPの測定方法
INPは、リアルユーザー監視(RUM)と合成監視の両方で測定することができます。
Googleは、実際のユーザの体験を反映するRUMから始めることを推奨しています。
このデータは、さらなる調査が必要な遅いインタラクションを特定するために非常に重要です。
まずRUMデータを分析することで、シンセティックモニタリングを通じて注視すべき具体的なパフォーマンス問題を特定できます。
このアプローチにより、サイトのパフォーマンスに最も影響を与える問題に集中することが可能です。
INPが導入された今、「古きを捨て、新しきを取り入れる」ということになるのでしょうか?
必ずしもそうではありません。
FIDは今や無意味なのか?
INPの導入により、FID(First Input Delay)が廃れてしまったのかと考える人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
FIDが依然として重要である理由
INPは、入力遅延、処理時間、表示遅延を含むユーザインタラクションのより包括的な測定を提供しますが、FIDはINP分析を補完する役割を果たしており、入力遅延を単独で評価する点で依然として価値があります。
たとえば、あるWebページはFIDが優れていても、処理時間や表示時間が長いためにINPが悪い場合があります。
FIDを理解することで、特定の最適化作業をガイドし、全体的な対話性を改善しやすくなります。
もしFIDが良好でINPが悪い場合、その問題は入力遅延を超えた部分にある可能性が高いです。
逆に、FIDのスコアが悪い場合、初期のユーザ入力に対する応答に直ちに注意を払う必要があります。
FIDとINPの補完的な役割を示すために、いくつかの実際のデータを見てみましょう。
例1
あるWebページのパフォーマンス調査で、95パーセンタイルのFID値は100ミリ秒で、「良好」の範囲内でした。 しかし、対応するINP値は576ミリ秒で、理想的な閾値である200ミリ秒を大幅に超えていました(以下の例として示されているトレンドAのグラフを参照)。 この例は、ページが最初のインタラクションに迅速に応答するものの、処理やレンダリング時間が長いため、全体的な対話性が低下していることを示しています。 例2 場合によっては、FIDの問題がINPパフォーマンスの悪化につながる、またはそれを悪化させることがあり、これらの指標が相互に関連していることを強調しています。 以下のシナリオでは、INPのパフォーマンスが悪く、FIDがこの劣化に寄与しています。 これらの指標は、迅速で応答性の高いユーザ体験を提供するために不可欠です。