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Webパフォーマンスと収益の関係

Marriottのケースが示す、Webパフォーマンスと収益の関係

2025年1月15日
著者: Howard Beader
翻訳: 逆井 晶子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「The curious case of Marriott and the untold impact of web performance on revenue」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


注意力がTikTokより短い現代では、企業にとって動作の遅いWebサイトは致命的です。
モバイルページが読み込まれるのに3秒以上かかる場合、53%の人がそのページを離れます。

それにもかかわらず、多くの企業、ホテルを含めて、Webパフォーマンスの重要性を軽視しています。

ホスピタリティ業界の大手であるMarriottも、この教訓を身をもって学んでいるようです。
彼らのWebサイトの遅さが、最近の株価の下落に貢献しているのでしょうか?
結論を言えば、その可能性はあります。

Webパフォーマンスが思っている以上に重要な理由

Webサイトのパフォーマンスは、ユーザーエクスペリエンスを左右します。

読み込み時間の遅さ、コンテンツの遅延、レイアウトのずれは、単にイライラさせるだけでなく、お客様を遠ざけます。
ジェネレーションZの消費者の25%は、遅いまたは信頼性の低いデジタルサービスに応じて競合他社に乗り換えます。
競争の激しいホテル業界では、これは大きな問題です。

CatchpointのHotel Website Performance Benchmark Reportでは、DNSルックアップ時間、最初のバイトまでの時間(Time to First Byte、TTFB)、ドキュメント読み込み完了時間、最大コンテンツ表示(Largest Contentful Paint、LCP)、累積レイアウトシフト(Cumulative Layout Shift、CLS)、およびページの全体的な読み込み時間など、ユーザーエクスペリエンスを左右する重要なメトリクスを評価しました。

Hotel Website Performance Benchmark Report表紙
Hotel Website Performance Benchmark Report表紙

調査の結果、多くのホテルのWebサイト、特にMarriottのサイトが、いくつかの分野で業界標準を下回っていることが判明しました。

分析したすべてのホテルのWebサイトで、DNSルックアップ時間が推奨される50msを超えており、コンテンツの読み込み開始速度を決定する重要な要素となっています。
この段階で遅延が発生すると、ユーザーはサイトを離れる可能性があります。
ユーザーの忍耐力が極めて低い世界において、このような技術的な欠点は直接的に収益機会の損失につながります。

MarriottのWebパフォーマンス:改善が必要な主要分野

MarriottのWebサイトでは、いくつかの重要なメトリクスで改善の余地がありました。
DNSルックアップ時間は最悪ではありませんでしたが、推奨値を超えており、ページの読み込み時間が長くなっていました。 ドキュメント読み込み完了時間も、Marriottが大幅に遅れをとっていました。

推奨値の約3倍もの時間がかかり、競合他社よりもインタラクティブになるのが遅かったのです。
この遅延は、ユーザーエンゲージメントに大きな影響を与え、直帰率の増加と顧客満足度の低下を招く可能性があります。

オンライン直接予約が重要な業界では、パフォーマンスの最適化は収益を大幅に押し上げる上で重要な役割を果たします。

ホテルのWebサイトのドキュメント読み込み完了時間の測定結果
ホテルのWebサイトのドキュメント読み込み完了時間の測定結果

さらに、LCPとCLSも懸念事項でした。
MarriottのLCP時間はテストの中で最も遅く、ページの主要なコンテンツの読み込みに時間がかかっていました。
CLSでは、視覚的な安定性が基準を下回っており、ページが読み込まれる間に予期しないシフトが発生していました。
これらの問題は、ユーザーに不快に思わせるだけでなく、検索エンジンのランキングにも悪影響を与え、オーガニックトラフィックを減少させる可能性があります。

ホテルのWebサイトのLCPの測定結果
ホテルのWebサイトのLCPの測定結果

最も深刻な懸念点はページ読み込み時間でした。
このメトリクスは、最初のナビゲーションからページ内の最終要素のデータ受信が完了するまでの時間を測定します。
ページ上のリクエスト数、ダウンロードされるデータの総量、DNS接続の数と品質、サードパーティのリクエストの読み込み、JavaScriptの非同期読み込みなど、さまざまな要因がページの読み込み時間に影響します。

Marriottのページ読み込み時間は記録された中で最も長く、ユーザーエクスペリエンスとコンバージョン率に深刻な影響を与える可能性のある複数の領域での非効率性を示唆しています。
調査によると、ページの読み込み時間が1秒遅れるだけで、コンバージョン率が7%低下する可能性があります。

Marriottのような企業にとって、これは特にピーク時に大幅な収益損失につながる可能性があります。

ホテルのWebサイトのページ読み込み時間測定結果
ホテルのWebサイトのページ読み込み時間測定結果

株価パフォーマンスとの相関はあるのか?

さて、注目すべき問題に移りましょう。
MarriottのWebサイトのパフォーマンスの低さが、最近の株価の下落に寄与した可能性はあるでしょうか?
直接的な因果関係を確立することは困難ですが、相関関係は調査する価値があります。
Marriottは最近、第3四半期の利益予測が予想を下回ったことを発表し、その結果、株価が4.4%下落しました。
この下落にはいくつかの要因が考えられますが、MarriottのWebサイトのパフォーマンスの低さを無視することはできません。

消費者がオンライン体験を基に即決する現代では、遅く、反応の悪いWebサイトは信頼を損ない、ブランドロイヤルティを弱めるリスクがあります。
予約を取り損ねたり、ユーザーをイライラさせたりしていませんか?
これは収益損失の原因になります。
Marriottにとって、これらの問題は複雑化し、お客様と投資家の両方からの信頼低下につながる可能性があります。

そして、SEOを忘れてはなりません。
GoogleはWebサイトをランク付けする際に、LCPやCLSといったパフォーマンスメトリクスを考慮します。
Marriottのサイトが苦戦すれば、検索結果の順位が下がり、見込み客への認知度が低下する可能性があります。
サイトへの訪問者が減れば、予約も減ります。
トラフィックの減少が加われば、収益への打撃は投資家心理を揺るがしかねません。

メトリクスが重要な理由

Catchpointレポートのメトリクスは単なる技術的な専門用語ではなく、Webパフォーマンスの核心です。
DNSルックアップ時間、TTFB、LCP、CLS、およびドキュメント読み込み完了時間は、ユーザーエクスペリエンスと満足度に直接的に影響を与えます。
例えば、DNS解決の遅延は、ページの読み込みが始まる前にユーザーを待たせる原因となります。
TTFBの遅延は、お客様が白い画面を見続ける時間を生み、サイトが遅い理由に疑問を抱かせます。
LCPやCLSのスコアが悪ければ、読み込みの遅れやレイアウトのずれで、ナビゲーションが困難になります。

これらのメトリクスが最適化されていない場合、ユーザーエクスペリエンスのあらゆるポイントで摩擦が生じます。
個別にみると、顧客満足度に悪影響を及ぼしますが、全体として、コンバージョン率、ロイヤルティ、ブランド認知度に大きな悪影響を及ぼします。
ホテルのWebサイトの場合、ユーザーが高額な取引を行っていることが多いので、ミリ秒単位の遅延も大きな影響を及ぼします。
サイトの速度が遅いと訪問者を失うだけでなく、1回の中断ごとに数百ドルの損失につながる可能性があります。

Marriottの株価の下落は、必ずしもWebサイトのパフォーマンスに起因するものではありませんが、Webパフォーマンスが悪いと、お客様がブランドをどのように認識し、最終的にブランドとどのように関わるかに影響を与えることは間違いありません。
デジタルが中心となる現代では、Webパフォーマンスは「あると良いもの」ではなく「必須のもの」です。

企業はInternet Performance Monitoring(IPM)に投資する必要があります。
さもなければ、競争に後れを取るリスクがあります。
迅速で安定した信頼性の高いWebサイトは、お客様をつなぎ止めるか、より速い競合に奪われるかの違いを生む要因となるでしょう。

詳細は、CatchpointのCatchpoint Hotel Website Performance Benchmark Reportをご覧ください。
一流ホテルブランドのパフォーマンスと優位性を保つためにできることをご確認ください。