SpeedData

更新から結果まで:2024年選挙日の報道を形作った指標

更新から結果まで:2024年選挙日の報道を形作った指標

2025年3月5日
著者: Howard Beader
翻訳: 永 香奈子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「From refresh to results: the metrics that shaped Election Day 2024 coverage」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


「史上最も重要な選挙」と称された2024年の選挙日は、従来の放送局、オンラインストリーミングプラットフォーム、デジタルメディア全体でオンラインのトラフィックが急増すると予想されていました。
11月5日、最初の結果が発表されると、国内および州レベルの両方でインターネットトラフィックは最大15%増加しました。
しかし、驚くべきことに、このトラフィックの急増は予想された場所では発生しませんでした——つまり、テレビではなかったのです。

通常、選挙の夜には大勢の人々がライブ放送に釘付けになりますが、今年は異なりました。
11月6日、ニールセンは2020年の選挙夜と比較してテレビの視聴者数が劇的に25%減少したと報告しました。
では、人々はどこへ行ったのでしょうか?

デジタルメディアが2024年の選挙日に主役となる

2024年の選挙日はデジタルメディアが圧倒的な存在感を示し、Fastlyのようなクラウドプラットフォームではトラフィックが大幅に増加しました。
Digidayのこのチャートによると、デジタルニュースサイトは2020年の選挙と比較してより多くのオーディエンスを獲得し、特にYahooとCNNが訪問者の大部分を占めました。

選挙日のニュースサイトへのトラフィック 2020年と2024年
選挙日のニュースサイトへのトラフィック 2020年と2024年

デジタルメディアは速報性において放送を大きく上回り、この利点は特に選挙日に際立ちました。
有権者が即時の結果を求める中、私たちはひたすらニュースサイトを更新し続けていたのです。
このような状況では、Webサイトのパフォーマンス指標が極めて重要になります。

なぜなら、それらはニュースサイトのユーザー体験やエンゲージメントに直接影響を与えるからです。
では、選挙当日にオンラインで何が起こったのでしょうか?
何百万人もの人々が同時に最新情報を求めた際、ニュースサイトはこのプレッシャーにどう対応したのでしょうか?

Catchpointは、2024年11月5日から6日にかけて、米国選挙期間中の主要ニュースサイトのパフォーマンスをベンチマークしました。
この調査では、「Time to First Byte(TTFB)」「Largest Contentful Paint(LCP)」「Document Complete time」といった重要なパフォーマンス指標が分析されました。
これらの用語は技術的に聞こえますが、実際にはニュースサイトが高負荷の状況下でどのように機能したのかを示す重要なデータなのです。

では、その結果を見ていきましょう。

The Guardian: TTFBの基準を確立

The GuardianのTTFBは驚異的な195ミリ秒——ほぼ瞬時でした。
これは、同サイトがトラフィックの急増に対して十分な準備を整え、堅牢なサーバインフラを備えていたことを示しています。

The Guardian: TTFBの基準となる

Bloomberg Businessweek: SSLの課題に直面

すべてのサイトが順調だったわけではありません。
BloombergはSSLネゴシエーションとサーバの応答時間に苦戦し、初期のサーバ応答だけで800ミリ秒以上かかることもありました。
その結果、ユーザーにとってはフラストレーションのたまる体験となり、重要な選挙速報を見逃してしまう可能性さえありました。

BBC: DNSの遅延がパフォーマンスに影響

BBCのDNSルックアップ時間も問題でした。
DNSルックアップとは、Webサイトの名前をIPアドレスに変換する処理のことで、これに時間がかかると遅延が発生します。
BBCのWebサイトは最も遅いDNSルックアップ時間を記録し、幾何平均で193msとなりました。

BBC: DNSの遅延

理想的には、DNSルックアップ時間は100ミリ秒未満であるべきで、50ミリ秒以下が望ましいとされています。
選挙の夜には1ミリ秒ごとに影響があり、この遅延がBBCのパフォーマンスを損ねました。

CNN: ページの読み込み時間の問題

CNNのパフォーマンスは一貫性がありませんでした。
基本のHTMLファイルのサイズが、ある時点で635,068バイトから1,359,388バイトへとほぼ倍増し、その結果読み込み時間が3倍に伸びました。
この読み込み時間の増加は基本応答時間に直接影響を与え、ページの読み込みパフォーマンスの顕著な低下を引き起こしました。

CNN: ページの読み込み時間
上記のパフォーマンスグラフは、基本HTMLファイルサイズの増加に伴い、幾何平均のロード時間と基本応答時間(ミリ秒)が増加したことを示しています。

CNNの読み込み時間の急増は、一見小さな問題が大きなパフォーマンスの問題へと発展することを思い出させます。
特に、選挙の夜のように大量のトラフィックが発生する状況では顕著です。
高速に読み込まれるページがあったとしても、実際に必要な情報が遅いコンテンツの下に埋もれていては意味がありません。

広告が瞬時に読み込まれたとしても、肝心の選挙結果が表示されないのであれば、それに価値はあるのでしょうか?
このレポートでは、選挙期間中にCNNのドキュメント完了時間が大きく変動したことも指摘されています。

CNN: パフォーマンスチャート
上記のパフォーマンスチャートは、CNNのドキュメント完了時間が米国選挙期間中および選挙後に大きく変動し、ページサイズの変化と相関していることを示しています。

CBS News: 選挙夜における最速のLCP

CBS: 最も速いLCP

CBSはその夜、最も速いLCPを記録しました。
LCP(Largest Contentful Paint)は、ページの主要コンテンツが読み込まれるまでの時間を測定する指標です。
LCPの値が高いと、ユーザはWebサイトの読み込みが遅いと感じる傾向があります。

CBSはLCP値が637ミリ秒であり、重要な選挙情報をユーザにほぼ瞬時に届けることができました。

BloombergのLCPが遅延

BloombergのLCPは3.8秒と遅延し、推奨される2.5秒の閾値を大幅に超えていました。
主要コンテンツの読み込みにこのような長い遅延が発生すると、ユーザエクスペリエンスに悪影響を及ぼし、エンゲージメントを低下させる可能性があります。
選挙の夜には、このような遅延が特に重大な影響を与える可能性がありました。

Business Insiderがドキュメント完了時間の競争で勝利

Business Insiderがドキュメント完了時間の競争で勝利

Business Insiderは、ドキュメント完了時間の競争で圧倒的な速さの810ミリ秒を記録し、勝利しました。
この成功は、おそらくサーバの最適化、効率的なキャッシュ処理、およびCDNによる高速なコンテンツ配信によるものと考えられます。
その結果、ページはほぼ瞬時に完全に読み込まれ、利用可能な状態になりました。

選挙の夜のドラマの裏側:Webパフォーマンスの重要な役割

このベンチマーク結果は、単なる技術的なデータではありません。
それは、緊張と期待が高まり、最新情報が絶えず求められる選挙の夜におけるWebパフォーマンスの鼓動そのものです。
各指標—DNSルックアップ時間、TTFB、LCP、ドキュメント完了時間—は、それぞれユーザがリアルタイムで展開されるドラマを追い続けられるかどうかに直接影響を及ぼしました。

DNS解決の遅延は、ユーザが見出しすら表示されずに待たされることを意味しました。
TTFBの低速化は、重要な更新時に画面が真っ白のままになることを引き起こしました。
LCPのスコアが悪ければ、情報が必要なときに取得できず、致命的な遅延を招きました。

これらの指標が最適化されていなければ、ユーザの操作のあらゆる段階で摩擦が生じます。 個々の問題でも顧客満足度に悪影響を及ぼしますが、これらが重なると、コンバージョン率、顧客ロイヤルティ、ブランドイメージに壊滅的な打撃を与える可能性があります。

パフォーマンスの重要性
出典

従来の放送からオンラインプラットフォームへの移行は、ピーク時のパフォーマンスの重要性を浮き彫りにしています。
最適化を優先したメディアは、ユーザに情報を提供し続け、現代史における最も重要な夜の一つにおいて、顧客ロイヤルティを維持しました。
この進化するデジタル環境において、複数のメディアがユーザの関心を争う中で、Webパフォーマンスは単なる技術的な要素ではなく、戦略上の重要な要素です。

それは、ユーザのエンゲージメントや満足度に直接影響を与え、競争において優位に立つための鍵となります。

詳しく知る

銀行航空ホテル旅行生成AI(GenAI)スポーツシューズおよびアパレル業界などを対象とした、当社の詳細なWebパフォーマンスベンチマークレポートをご覧ください。