
インターネット障害が企業にもたらす実際の代償を、専門機関が公開
見えぬ障害が利益を蝕む
2025年4月1日
著者: Howard Beader
翻訳: 逆井 晶子
この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事「Leading analyst firm reveals the real cost of internet disruptions」の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。
インターネットがなければ、デジタル体験は存在しない――この言葉から始まるInternet Performance Monitoringによる収益向上と顧客体験の改善は、Catchpointが委託した、インターネットの障害による金銭的損失を定量化した調査です。
一見すると、それはあまりにも明白で、今さら言うまでもないように思えるかもしれません。
しかし、少し立ち止まって考えてみてください。
現在のデジタル体験は、ビジネスの一部ではなく、ビジネスそのものなのです。
その瞬間、問題の重大さがまったく違って感じられるはずです。
Eコマースの経営層にとって、これは無視できない警告と言えるでしょう。
インターネットの障害――完全なダウンタイム、継続的な遅延、ページ読み込みの遅さなど――は、企業の利益を水面下で大きく損なっており、、多くの企業がその損失に気づいていないのが現状です。

調査の主な発見
この調査は、インターネットパフォーマンスとビジネスリスクに関する差し迫った事実を明らかにしています。
すべてのEコマースリーダーが知っておくべき内容は以下の通りです。
- インターネット障害は思っているより頻繁に起こる
- Eコマース企業は月平均72件の障害を経験しており、そのたびに収益と顧客の信頼が損なわれています。
- 収益と顧客ロイヤルティが危機に
- 65%のリーダーが、「Webページの遅延は完全なダウンと同じくらい損害を与える」と回答しており、69%が障害による顧客離れの増加を報告しています。
- 多くの企業が重要な部分を監視していない
- 企業のわずか32%しか、デジタル体験を支えるインターネットスタック全体を監視できていません。
インターネット障害の高い代償
この調査は、261名のEコマースおよびテクノロジーリーダーを対象としたもので、大多数の企業がインターネット障害(ダウンタイムまたは遅延)により年間で数百万ドルを失っていることを明らかにしています。

- 42%の企業が、1か月で50万ドル以上の損失を被っており、年間では600万ドル以上に相当します。
- 83%の企業が、月間で10万ドル以上の損失を報告しています。
その主な原因は?
可視性の欠如です。
監視のギャップが企業を脆弱にする
多くのEコマース企業はインターネットパフォーマンスの一部を監視しているものの、調査結果によれば、全体を把握できている企業は非常に少数です。
インターネットスタック全体を全社的に監視している企業は3社に1社に過ぎず、実際にそれを有効に活用できている企業はさらに限られています。

調査では、
適切な技術やツールがなければ、インターネットスタック全体を可視化するのは非常に困難、場合によっては不可能です。
とはいえ、これほど大きなリスクを前にしては、対策を講じない理由にはなりません。
インターネットはEコマースの要であり、障害をいち早く特定・修復するためのパフォーマンス監視は、最優先で取り組むべき課題です
と指摘されています。
実際のところ、多くの企業は問題が発生した後になってようやく対応を始めており、その際に使用される情報は不完全です。
多くは手作業によるトラブルシューティングに頼っており、障害の原因を的確に突き止める手段すら持ち合わせていません。
ここで朗報です。
Internet Performance Monitoring(IPM)は、正しく導入すれば高い効果を発揮します。
実際、堅牢なInternet Performance Monitoring(IPM)に投資した企業は、目に見える成果を上げています。
調査によれば、効果的なIPMとは、「障害の原因を迅速かつ的確に特定する能力」を指し、それによって企業は迅速に問題を解決し、通常業務へスムーズに復帰できるようになります。
インターネットスタック全体を監視している企業では、そうでない企業に比べて損失が54%少なく、重要なシステムのみを監視している企業と比べても14%損失が少ないという結果が出ています。
さらに、100万ドルを超える損失を出している企業の割合は、こうした先進的な企業の間で3分の1も減少しています。

しかし、効果は明白であるにもかかわらず、IPMをうまく導入している企業は少数です。
全社的にインターネットスタック全体を監視している企業はわずか32%です。
このギャップこそがチャンスです。

CatchpointのCEO兼共同創業者であるMehdi Daoudi氏は、以下の様に述べています。
フルスタックのInternet Performance Monitoringは、デジタルレジリエンスに不可欠です。
ユーザーの速度低下の原因が見えなければ、それを修正することはできません。
それは、利益の損失、顧客の離脱、チームの疲弊を意味します。
今後の道筋:インターネットスタックへの可視性の獲得
調査は重大なギャップを強調しています。
障害は、CDN、API、DNS、ルーティング、クラウドインフラストラクチャ、あるいは企業の直接的な管理外にあるサードパーティサービスなど、インターネットスタックのどの層でも発生し得ます。
このような層への可視性を欠いたままでは、企業は状況を正確に把握できず、ほぼ手探りでの対応を強いられてしまいます。
調査対象者の100%が、Internet Performance Monitoringがビジネスに好影響を与えると回答している一方で、実際にフルスタックの可視性を実現できている企業はごくわずかです。
企業が成功しているポイント、失敗しているポイント、そして可視性の向上が収益と顧客体験をどのように守るのかを知るには、調査レポートをお読みください。
調査結果をさらに詳しく知りたい方へ
5月29日午後1時(米国東部標準時)に、ゲストスピーカーであるForrester社の副社長兼主席アナリスト、Sucharita Kodali氏との対談が開催されました。
ウェビナーはこちらからご覧いただけます。