2022年8月度モバイル回線品質比較レポート
モバイル通信を可視化
回線品質とは
ビデオ通話、動画再生、ゲームなどがスマートフォンアプリで主に使われるアプリとなり、コロナ禍以降、在宅勤務やリモートワークのWeb会議などでも携帯通信が使われるようになりました。
従来は、上りと下りのスループットが注目され、総務省の「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会」で推奨された計測手法や集計手法でも、ダウンロードのスループットが品質指標でした。
しかし、主にリアルタイム性が重要なビデオ通話や動画再生、ゲームなどのアプリケーションの利用では、スループットでは正しく品質を評価できません。
インターネットの通信を、高速道路に例えると、スループットは、車線数に相当します。
リアルタイム性が重要なアプリケーションの場合は、スループットよりも、レイテンシやホップ数、パケットロスが重要です。
- レイテンシ
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端末からサーバまで、通信が往復に掛かる時間。
高速道路に例えると、時速。
この値が小さい程に、リアルタイム性が高い通信が可能となる。
- ホップ数
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端末からサーバまで、通信の際に経由するネットワーク機器の数。
高速道路に例えると、インターチェンジや料金所。
この値が小さい程に、途中で経由するネットワーク機器が減るので、ばらつきが小さくなる。
- パケットロス
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端末からサーバまで、通信した際に、データが消失した割合。
高速道路に例えると、事故。
この値は基本0が望ましい。たとえ1~2%程度であっても、遅延の原因となる。
調査概要
- 調査名: 2022年8月モバイル回線品質比較レポート
- 調査方法: フィッシャー三原則に則った定点計測・監視
- 計測手法: 各都市に設置した計測機器から携帯通信回線を経由して、東京に設置したサーバまでのTracerouteを実行
- 計測頻度: ランダムな15分に1回
(ランダムに15分に1回とは、10:00、10:15、10:30のようなきっかりと15分ではなく、10:01、10:14、10:32のようにランダムさが加えられている)
- 標本の大きさ: 各都市・各キャリア毎に2,976
- 通信種別: 以下の別表のとおり
- 計測機器: モバイルルータ(3GPP Release15対応)、計測マシンの性能、OSなど、全て統一されています。
- 調査期間: 2022年8月1日〜31日
- 調査対象:
- 計測都市: 札幌、新潟、東京、大阪、福岡の全国5都市
- 計測キャリア: ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯キャリア4社
※本調査に関する内容をご掲載の際は、必ず「Spelldata調べ」と明記してください。
サマリー
- 総合評価で、auが最も品質が良い回線でした
- 札幌、新潟、福岡では、ソフトバンクが最もレイテンシが速いキャリアでした
- 東京、大阪では、auが最もレイテンシが速いキャリアでした
詳細データの見方
- 散布図
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散布図は、縦軸にレイテンシのミリ秒、ホップ数、パケットロス率を取り、横軸に日付を取って、観測値をプロットしたものです。
データの分布の概況を把握したり、分布パターンを把握するのに適しています。
- 累積分布関数
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累積分布関数は、1か月の観測値を、小さい値から順番に並べたものです。
散布図が時間の流れで見るのに対して、累積分布関数は期間あたりの品質の分布状況を把握するのに適しています。
パフォーマンス分析では、累積分布関数で分析するのが一般的です。
- 積分分布
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累積分布関数の結果を数値として把握したり、比較分析したい場合には、このグラフの面積=積分として分析します。
積分=面積となるため、各指標の単位は無単位になります。
平均比較ではないので、正確に差を比較できます。
札幌
散布図
2022年8月の札幌におけるモバイル4社の通信品質の散布図
累積分布関数
2022年8月の札幌におけるモバイル4社の通信品質の散布図
積分による比較
新潟
散布図
2022年8月の新潟におけるモバイル4社の通信品質の散布図
累積分布関数
2022年8月の新潟におけるモバイル4社の通信品質の散布図
積分による比較
東京
散布図
2022年8月の東京におけるモバイル4社の通信品質の散布図
累積分布関数
2022年8月の東京におけるモバイル4社の通信品質の散布図
積分による比較
大阪
散布図
2022年8月の大阪におけるモバイル4社の通信品質の散布図
累積分布関数
2022年8月の大阪におけるモバイル4社の通信品質の散布図
積分による比較
福岡
散布図
2022年8月の福岡におけるモバイル4社の通信品質の散布図
累積分布関数
2022年8月の福岡におけるモバイル4社の通信品質の散布図
積分による比較