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インターネットパフォーマンス監視

インターネットパフォーマンス監視(IPM)とは何か、APMとの違いは何か?

2022年12月28日
翻訳: 島田 麻里子

この記事は米Catchpoint Systems社のブログ記事 What is Internet Performance Monitoring and How is it Different from APM?の翻訳です。
Spelldataは、Catchpointの日本代理店です。
この記事は、Catchpoint Systemsの許可を得て、翻訳しています。


今日、インターネットを中心とする組織のほとんどは、何らかの形でAPM(Application Performance Management)ツールを使用しています。
しかし、それだけでは十分ではありません。

この10年で、世の中はすっかり変わってしまいました。

考えてみると、西暦2000年の最初の10年間は、ほとんどの企業がExchangeサーバ、Siebel CRM、ファイル共有、その他様々なビジネスアプリケーションを持ち、通常は同じ建物内でホストされていました。
全てがLAN上にあったのです。

現在は、その真逆です。
全てが分散しています。
アプリケーションはSaaS型か、複数のデータセンターやクラウドでホストされており、アプリケーション自体も数十から数百の依存関係を持ちます。

労働力だって分散しているのです。

これにインターネットの複雑さと脆弱性が加わると、ほとんどのIT運用チームはインターネットで何が起きているのかが見えなくなってしまいます。
インターネット・スタックを理解し、監視し、修正し、最適化するために必要な可視性を提供する新しいソリューションが必要なのです。

インターネットパフォーマンス監視の導入

インターネットパフォーマンス監視(IPM)は、お客様のビジネスに影響を与えるインターネットのあらゆる側面を深く可視化する、新世代のソリューションです。
IPMツールは、インターネットの運用にレジリエンスを必要とする企業にとって不可欠なものになるでしょう。
いえ、正直言って、世の中のほとんどの企業にとって、そうなります。

APMツールがコードに着目するのに対し、IPMはネットワークに着目します。
APMがアプリケーションに影響を与えるもの(データベースの待ち時間、非効率なコード、リソースのボトルネック)を全て見ようとするのに対し、IPMはインターネット上での顧客、従業員、アプリケーション(またはAPI)体験に影響を与える全てを見ようとするものです。

インターネット・スタック

Synthetics(合成監視の意)、RUM(Real User Monitaring)、およびパフォーマンスプロファイリングは、IPMおよびAPMの武器となるツールですが、IPMでは、APMツールがそれらを使用する方法とは全く異なる方法で使用されます。

例えば、ほとんどのAPMツールは、クラウドにSyntheticエージェントを有しています。
APMはクラウドからクラウドへの監視を行いますが、これはアプリケーションの最適化には有効なのに対し、顧客や従業員の体験を監視し最適化する際には役に立ちません。
単純に、顧客や従業員はクラウドからシステムにアクセスするのではなく、郊外のノートパソコン、外出先のモバイル端末(無線通信事業者を利用)、近所のコーヒーショップのISP経由のタブレットなどからアクセスするためです。

これをCatchpointのようなIPMソリューションと比較すると、Catchpointは世界各地に何千もの監視拠点を持ち、ISP、無線通信事業者、BGPの自律システム、さらにはインターネットのコアからエッジまでのあらゆる部分を見渡す能力を兼ね備えていることがわかります。
ボストンからVerizon経由でCloudflareのCDNに接続するユーザと、フランクフルトでT-Mobileブロードバンドを使ってFastlyのCDNに接続するユーザとの体験の違いを説明できるのは、IPMツールだけです。

インターネットにおいて、「遅い」ということは新たな障害です。
そのためIPMでは、パフォーマンス、到達性、稼働率に着目しています。
実際、私たちはインターネット・レジリエンスを、可用性、到達可能性、パフォーマンス、そして信頼性という4つの重要な要素の組み合わせで考えています。

「私たちは、ネットワークが重要な役割を果たす世界に住んでおり、あなたが行う全てのことが何かしらの形でインターネットに触れています。
Catchpointが実現したのは、インターネットの全体像を把握することであり、顧客にとってのNexRad(次世代気象レーダー)のようなものです」
Equinix社 カスタマーサクセス担当シニアディレクター Jeremy Brooks氏

APMとオブザーバビリティ

APMは何に役立つのでしょう?
ソフトウェア・アプリケーションを理解し、問題やボトルネックを把握する……。
アナリストのリサーチでは、アプリケーションのトレース、発見、診断に役立つと言われています。

ほとんどのAPMプラットフォームは、エンドユーザ体験を測定するためのRUMを提供し、他の監視ツールと同様に、ダッシュボード、アラート、およびレポーティングを提供します(当たり前ですが)。

APMは成熟した市場です。
おそらく90年代にPrecise Software社から始まり、その後AppDynamics社やDynatrace社が登場したのでしょう。
現在では、Splunk社やDatadog社など、多くの企業がAPM機能を構築しています。

10年ほど前に、多くのAPMベンダーがRUM、ログ、メトリクス、APMを組み合わせて、それは市場で最初の「オブザーバビリティ」ソリューションのいくつかになりました。
アプリケーション・スタックの問題をより正確に特定するために、相関する複数の視点を提供したのです。

オブザーバビリティの定義は、問題があることを示すだけでなく、問題がどのような影響を及ぼすのか、何を修正する必要があるのか、完全なシステムの文脈を示す監視の形態へと発展してきました。
このように、IPMもオブザーバビリティ・ソリューションとして進化してきましたが、APMにフォーカスしたオブザーバビリティ・プラットフォームとは全く異なるフォーカスを持っています。

APMとIPMの連携

Catchpointは、間違いなく市場で最初のIPMソリューションです。
最も深く広い可視性を持ち最も柔軟な分析・診断エンジンを備えた最先端のIPMソリューションであることは疑いようがありません。

だから、最近ある人たちに「Dynatrace社とどうやって競争するんですか」と聞かれたとき、私は、「そんなことはしない」と言いました。
きっとその人らは勘違いしているに違いありません。

どれが正しいツールなのかを判断するために、皆さんが何を解決しようとしているのかについてお話ししましょう。
両者は補完し合うものであり、混同されるに違いないのです。

例えば、SAP社は、世界有数のオンライン小売サイトを支えるSAP Commerce Cloud(旧Hybris)において、インターネット・レジリエンスと顧客体験を確保するためにCatchpointを使用しています。
他の多くの企業と同様に、アプリケーション・スタックを確実に稼働させるためにAPMを、インターネット・スタックを確実に稼働させるためにIPMを使用しています。

「Catchpointは、Webサイト、インターネット、複数のオブザーバーを経由して観測することができます。
そのため、サイトのどこが遅いのか、どの地域から問題が発生しているのか、例えばお客様がCDNを導入しているのかなどが正確に分かります。
また、お客様や我々自身に対して、商用サイトを最大限に見通すことを可能にします」
SAP社 顧客体験オブザーバビリティ、自動化基礎部門VP Martin Norato Auer氏

IPMはネットワークエンジニアが必要とする技術であり、スキルセット

私たちはLANからWANへの進化の最終段階を迎えているのです。

10年以上にわたって、ネットワークエンジニアはルータやスイッチの設定や管理に深く根ざしたスキルを身につけてきました。
現代の企業は、スイッチもルーターも、いや、LANも全く持っていないかもしれません。
もしあったとしても、5年前ほどの重要性はなく、インターネットほどの重要性もないことでしょう。

現代のネットワークエンジニアは、IPMツールを必要とし、IPMのスキルを高める必要があります。
Catchpointでは、この14年間、その両方に取り組んできたというのが良いニュースです。

ここで、あなたが夢中になれるいくつかのリソースを紹介します(全て登録フォームなしの非ゲート式で利用可能です)。

  1. BGPの総合ガイド - https://www.catchpoint.com/asset/the-comprehensive-guide-to-bgp
  2. デジタルファースト企業に不可欠なCDN監視 – https://www.catchpoint.com/asset/essential-cdn-monitoring
  3. 複雑なデジタル環境におけるネットワークプロトコルのトラブルシューティング – https://www.catchpoint.com/asset/troubleshooting-network-protocols-in-a-complex-digital-environment
  4. ネットワーク管理者のための合成監視(Synthetic監視)ガイド – https://www.catchpoint.com/dynamic-routing-protocols
  5. BGP監視のオンラインガイド – https://www.catchpoint.com/bgp-monitoring